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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第26章 ふたつの半月





「いえ…図々しく、ごめんなさい…」

「違う!様子見に来ただけだと思ったんだよ!」

睦の手をむんずと掴み

「来い」

引きずるようにして屋敷の中へと連れ込んだ。












どうしてもじっとしていられなかった。

あの夜、大嫌いなんて言ってしまったこと。
そう言われた時の宇髄さんの目。

それが心に引っかかって。

謝って自分がスッキリしたかっただけじゃない。
ちゃんと向き合わなくちゃと思ったんだ。
そんな勇気もないくせに。

手ぶらで行くのもどうかと思い、
おみやげを買ったのはいいけれど、
留守だったらいいなとどこかで思っていた。

踏ん切りがつかず
門の前でうろうろとしている私に
突然かけられた声。


思い切り、避けられているような気がした。
だって帰れと言われた…

悪いことを言ったのは確かだけど…
そんなふうに言われるとは思っていなかった。

どこかで、…
この人なら私が何をしても大丈夫って
勘違いしてたんだ。
気持ちには応えないくせにひどい話。


本音を、冗談に紛れさせていたよね。

——もしかして本心かもしれねぇなとか思うだろ。

そうだと思う。
間違っても口にしたらいけない言葉だった。

俺だってな、時間が必要な時があんだよ

あんなひどいことを言われて、
心が抉られないわけがない。
もう私なんかと一緒にいたくないかもしれない。

海龍への気持ちを断ち切る事すら出来ないくせに
この人に甘えてしまう私は最低だ。


「睦?」

「はいっ」

「いや…はいってお前…」

この間と同じ部屋の中。
やっぱりテーブルを挟んで
向かい合わせで座る私たち。

どう考えても自責の念に囚われていた私は
思い切り背筋を伸ばして返事をした。

「ごめんなさい。
謝りに来たんです…それだけなんです」

「それだけ?」

宇髄さんは思い切り眉を寄せた。

「はい…」

「…じゃ何を謝んの?」

試されているような気がして来た。

「大嫌いだなんて言って…」

「何でソレを謝りたいのよ」

えぇ…
めっちゃ訊いてくる…。

「傷つけたような気がしたので…」

「俺を傷つけちゃダメなのか」

「だめ…ですよね?」

つい訊いてしまった私に、

「知らねぇ。お前はどう思う?」

とぼけた後に
更に追求の手を強めた。


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