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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第26章 ふたつの半月





「もう泣きません!やめて下さいよ!」

この人が私の涙を覚えているかと思うと
顔から火を吹きそうだ。
話題に上げないでほしい!

それなのに宇髄さんは楽しそうに笑って
わざとぎゅっと、手を握り返す。
私が離そうとしたのを察したようだった。

なんか…大した抵抗もせずに
当たり前みたいに手なんか繋いでるけど。
私はこれでいいのか?

でも…この人がこうやって来てくれるおかげで
私は随分と気が楽になるんだ…。
なんでかな。



そんな日が
毎日続いて、もう日常になりかけていた。

それなのにその日だけは違っていた。
いつもは明るいうちにやってくるのに
なぜだか日が落ちた、真っ暗な時間に
宇髄さんはやってきた。

しかも、窓からだ。

コンコン、と窓ガラスにノックがあって、
驚いて目をやると
その向こうに宇髄さんの姿。
私の部屋は2階だ。
危ないと思い慌てて窓を開けて

「なんでこんな所から…!」

叱るようにひと声かけた。
すると無言の宇髄さんに押し込まれるように
入室され、
長い腕に肩を抱き込まれると
鼻先がくっつくほど顔を寄せられる。

咄嗟に顔を背け

「やだ…なんのつもりですか」

震える声で抗議した。
強い力…
ちょっと怖い。

「睦、」

逸らした私を追って、また正面から見つめられる。
それをまた避けるけれど
同じように迫られて

「や…、」

どうしていいかわからなくなる。

「睦好きだ」

「いや…!」

「まだ、届かねぇか?」

「…知らない」

「逃げんな、俺を見ろよ」

「離して…下さい…!」

少しでも距離を取ろうと
宇髄さんの胸に手をあてる。
狼狽える私をよそに
尚も迫る宇髄さんは

「睦…
俺を埋められるのはお前しかいない。
そばにいてくれよ」

情熱的に愛を伝えてくれる。
でも、
私にはどうしても、それを受け入れられない…。

だって…私なんか…。

プイとそっぽを向く私のほっぺたに
宇髄さんは風のような口づけをした。

「なぁ、そんなに…俺じゃだめか?」

どきっと心臓が強く脈打つ。

「やめ…、離してよ…!」

「睦…俺といて楽しいだろう?
ホッとするよな?」

「…そんな、」

「そうだろ?俺といるお前、すげぇ可愛いもん」


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