第5章 消息盈虚
「蜜璃ちゃん、ありがとう。
私を、ちゃんと見ていてくれてありがとう。
蜜璃ちゃんがいてくれて、私すごく幸せ」
私の大切な人が増えていく。
同じように、私を想ってくれる人も、
増えていくと、いいのに って、
ずっと思ってた。
「ありがとうー!私も、大好きな睦ちゃんと一緒にいられて幸せだよー!」
蜜璃ちゃんは、
私よりもたくさん涙を流しながらそう言ってくれる。
「睦ちゃん睦ちゃん!
そのお弁当はね、宇髄さん御用達なの。
いっつも何か大事な時には、
そのお店のごはんを振る舞ってくれるの。
…でも自分は絶対に食べないのよね…」
「……蜜璃ちゃん、それホント?」
「え?ええ、本当よ?お代は出してくれて、
自分で買って食えって。他で買わず、
必ずあの店で買えよって言われるのよ。
よくわからないでしょ?
でもね、すっごくおいしいのよー!」
…どういう事でしょう宇髄さん?
おじちゃんのお店、前から知ってたの。
自分で、見つけ出していたの。
顔を出したら、
おじちゃんにバレる事を危惧したのかしら。
あの、子どもの頃、
おじちゃんと顔を合わせているからかな。
でもおじちゃん、覚えているのかな…
おとなしくなった私を不思議に思ったのか
蜜璃ちゃんは私を見下ろした。
「睦ちゃん?大丈夫?」
「うん…」
私はにこりと笑ってみせた。
それを見て安心したのか、
彼女もにっこり笑ってくれる。
「わざわざ持ってきてくれてありがとう!
ちゃんと食べるね!」
「うん!睦ちゃん、少し痩せちゃったみたいに見えたから心配だったの。…ごはん、食べてるかなって…」
「ちょっと忙しい日が続くとそこまで気が回らなくて…でもこれでも食べてるんだよ?」
「それならよかったわ!
気が滅入っちゃってごはんが
喉も通らないのかと思っちゃった。
私は睦ちゃんが元気ならいいの。
それで…睦ちゃん、いつ食べる?」
「え?いつ?」
「よかったら、一緒に食べましょ?」
蜜璃ちゃんは、
いつのまにか足元に置いてあった
もう一つの袋をを指さした。
ちゃっかり自分の分もあるらしい。
「ふふっ。じゃあ今食べる!」
私が言うと、
蜜璃ちゃんは飛び上がって喜んでくれた。