第25章 時間を超えて。

「…いや、許さねぇ」

「ちょっと！」

それなのに私にはそれを強いるの？
おかしくない？

「その記憶無くすくらい
ぶっ通しで犯してやるよ」

「………」

こーわぁ……

昔の私に同情するわ。

「…何だ当然だろ」

不機嫌そうに私を睨み、

「お前も、その『俺』に忘れさせてもらえ」

今度は無遠慮に着物を開かれる。
私が抵抗するよりも早く
私の肌に唇を滑らせて…

「…っま、って！許して、ない…！」

だいたいあんな言い分、おかしいよ！

「…じゃあ、許せよ」

「ダメ、だってば！」

ぎゅっと背中を抱きしめられて
胸の柔らかさを堪能するように
頬擦りされる。
こんな甘え方されたら、
ちょっと、拒み切れないかも。

「…抵抗されたら燃えるの、知らねぇの？
お前の『俺』は違うのか？」

嚙み付くように胸の突起を含まれて
ビリっと電気が駆け抜けた。

「ば、か…いちいち、思い出させない、でよ」

天元の話をしないで…
すごく、悪いことしてる気になる…

「…悪ィ…泣かないでくれ…」

少し伸び上がって、
私のほっぺにキスをする。
優しく髪を撫でて、慰めてくれて…

「…怖い…もう、わからなくなるの…」

「睦…？」

涙の跡に唇を這わせ、
気遣わしげに私を覗き込んだ。

「天元、なのに、天元じゃなくて…
でもキスなんかされたら…簡単に流されちゃう…
好きなんだもん、天元のこと…」

違うはずなのに違わないの。
違わなくても、違ってて…

私はもう、混乱しかない。

「…？…キス、って…」

ちゅ、と唇を重ねられて…

「こう？」

「…！」

可愛く首を傾げられ
思い掛けずときめいてしまう。

キス、なんて言葉、無いのかな。
それにしたって…

たまにするその可愛い仕種は、
わざとなの？
それとも自然なの？
おっきくて男らしいくせに
可愛くしないでほしい。

ほっぺたが熱い。
真っ赤になっているに違いなかった…
その証拠に

「…そんな可愛くされたら我慢きかねぇぞ」

天元はそんな事を言う。

可愛いの自分じゃん…！
なんて
思っていたのに、
すべての意識を持っていかれるようなキスをされて
私は……もうだめかも。