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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第25章 時間を超えて。





背中を丸め、敷布団に押し付けて阻止する私の
腰の辺りに左腕を通して
クッと持ち上げられた。
うまいこと布団との隙間を作られて
…この人の意のままになってしまう。

「や、…やめ…っ!」

私の抵抗なんてものともせずに
しゅるしゅると解かれていく結び目。
…ちょっと器用すぎやしないかと
感心するほどの手際の良さだ。

あんなにぐるぐるに巻いてあったはずの帯が
すっかり抜き去られてしまった頃、

「さっき…誰の髪を撫でた?」

怖いくらい静かに訊かれて、
私はハッとした。

「この手はなぁ…?
俺の睦のモンなんだよ。
他の男に触れんのは許さねぇ…」

言いながら私の手を取り
掌をそうっと撫でる。

「あ、の…ごめんなさい、勝手な事して…」

そうか、この体であんな事をしたから
怒ってるってことなんだ。
彼の言い分はもっともな気がして
軽率なあの行動を、私は後悔した。

「…で?お前は今、…何故俺を拒む?」

私の言ったことにはさほど反応を示さず、
相変わらず静かな怒りを湛えて
天元は質問を重ねる。

「なぜって…だってそりゃ、……」

私の求める天元ではないからだ。
でも何となく、
それを口にするのは憚(はばか)られた。

「お前は俺の睦でありながら
違う男を見ているな」

「ちが、う…私は
あなたの睦じゃないんだよ…!」

「俺じゃねぇ誰かを見てんなら
こっちを向かすだけだ…」

近づく唇に恐怖を覚える…

「勘違いしないで!私は…っ」

「そっちの俺が、そんなにいいか…?」

「え…?」

不死川さんの事じゃ、ないの…?
その事で怒っているんだとばかり思っていた。
なのに、
『そっちの俺』…って…

「な、に?」

うまく言葉が出てこない。
ひどく混乱していたのだ。

「お前の目の前にいるのは誰だ…?」

矛先が、さっきの不死川さんの事ではなく
『私の』天元に向けられている事がわかり、
私は息を詰まらせた。

何も言えずにいる私の肩を
着ているものと一緒に、大きな手が撫で下ろす。

「や!」

曝された素肌を隠すように身をよじった。

「あなたは…悪いとは思わないの⁉︎
本当の睦に対する…裏切りだよ」


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