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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第25章 時間を超えて。





その腕を、ものすごい勢いで奪われた。
あまりにも急な事に
驚いた私の目に飛び込んで来たのは
嫉妬に狂ったような顔をした天元だった。

それは握り潰されそうなくらいの力で…
引こうが押そうがびくともしない。

「…っい、たい…!」

やっとのことでやめるよう訴えるのに

「男を相手にするのが生業か」

低い声。
…なんで怒ってるの?
なんで怒られなきゃなんないの?

「ほっといてよ…!痛いったら!」

膝の上には不死川さんの頭。
あまり激しくは抵抗できない。
でも今、そんな話ししたくない。

「…そうだな。でもほっとけねぇよ」

怒りから、心配な色を濃くした瞳。
…あぁ、そうだよね。
『天元』だもんね。

「大丈夫だよ。ちゃんと、天元が守ってくれた。
私を、助けてくれたよ」

「俺?」

「そう。私のこと、全力で愛してくれるの」

私が伝えると、
腕を掴んでいた手をフッと緩めて

「…お前を救えたのか?幸せなんだな?」

まだ心配そうな目で問う。

「うん」

はっきりと頷くと
納得してくれたのかスルリと離れて行った。
そのまま不死川さんを担いで、
煉獄さんの隣に敷いた布団に寝かせる。

寝入っている2人は心地良さそうに
ふかふかの布団に埋もれていた。
この2人こそ幸せそうだ。

「あぁ手がかかるよなぁ」

こきこきと肩を鳴らす天元は
大股で部屋を横切り、前を通り過ぎる瞬間に、
また私の腕をつかんだ。

止まりもしない天元に
半ば引きずられるようにして立ち上がり
その後を追うしかない私は、

「天元、待ってよ、早い…!」

彼の右腕にしがみつきながら
なんとか足を運ぶ。

無言で部屋を後にする彼の背中に、

「ねぇ、まだ片付けしてないよ」

テーブルの上は食器や
残り物のおつまみで溢れていたのに。

「そうだな。…それより先に、
したい事があるから、付き合ってくれねぇか」

前を向いたままそう告げる天元に
私はおとなしくついて行くしかなかった。
だって…
有無を言わせない雰囲気だったのだ。

手を引かれて行き着いたのは、天元の部屋。
部屋の中、閉めた襖を背中に立たされて

「ちょっと待ってろ」

待つこと数秒…




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