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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第25章 時間を超えて。





「ちょっと、聞いてる⁉︎」

当然、矛先は俺だ。

「あぁ…。わかったから、ちょっと落ち着け」

よしよしと頭を撫でてやると
状況が飲み込めたのか
ハッとして俺から離れ、

「……うん…あの、えっと…ごめんなさい…」

立ち尽くしている2人に向けて謝った。

「あ、」

煉獄を見て何かを思い出したのか、
睦は俺を見上げる。

「杏寿郎さんが助けてくれたの」

……

「違う違う。あいつは煉獄サンだ」

「えぇ…?」

零れてしまいそうなほど目を見開いて、

「…煉獄、杏寿郎さん…でしょ?」

違うの?という声が聞こえてきそうだ。

「あぁ、でもアレは煉獄サンなの」

「…そうなの…?」

「俺は何と呼ばれようと構わない!」

「おだまり、煉獄クン」

いいんだよ、
仲良さげに名前なんかで呼び合われたら
気が気じゃねぇだろー、俺が。

「…ねぇ、じゃあこの人は?」

睦は不死川の周りをぐるぐる回った。
不死川は気味悪そうに
睦を目で追っている。

正面で止まった睦は
まじまじと不死川の顔を眺め、
目を合わせたまま
ガッと右腕をつかんで袖を捲り上げた。

「オイ何すんだァ!」

凄む不死川をものともせずに

「…天元といいあなたといい、
何をしたらこんな事になるの?」

悲しげな瞳をその腕に滑らせた。

「なに…?」

さすがに戸惑いを隠せない不死川。
そんな不死川をよそに、
睦はさっきとは別人のように

「痛いの……飛んでけ…」

消え入りそうな声で言い、
その腕を自分の胸に抱きしめた。
今朝、俺にしたように…。


「…宇髄」

その様子を見て、煉獄が声をひそめる。
パッと振り向くと

「睦は、…情緒不安定なのか」

ものすごく心配そうに言った。

そうだよな。
そう見える。
さっき怒り散らしていたのとは別人だ。
だが、アレがあいつの通常なんだろう。
喜怒哀楽の激しい、わかりやすく可愛らしい女。

ただ、いつもの睦だと思っている
この2人にとっては、
睦がおかしくなったようにしか見えないだろう。

「いや、…今ちょっと、時間旅行中なのよ」

かと言って、1から説明すんのも億劫だ。

「何だと?」

「ややこしいのよ、色々と」


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