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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第25章 時間を超えて。





「睦、」

唐突に呼ばれて

「はいっ」

しゃきっと背筋を伸ばした私に
小さく笑いながら

「紅つけるから…唇、ちょっとだけ開け」

そうさせるように
私の顎に親指を掛けて少し引き下ろした。

されている事が見えていないから
余計に緊張する。

……口紅を塗るんだったら
アイシャドウの時とは違って
目を開けていても問題はないんじゃないかな?

そう思ってパチリと目を開いたと同時に
彼の口唇が私のそれにぴったりと重なっていた。
目を閉じているくせに、
驚いた拍子に正座を崩した私の頭を正確に引き寄せ
ついでに背中まで抱き寄せようとするから

「…っちょ、くちべに、は…⁉︎」

彼の肩に両手をかけてグッと力を込める。
それでも、押し付けるようにキスされて…

急にそんな事をされる意味がわからずに
緩く抵抗していると、
ちゅ、と名残惜しそうに離れた天元が、

「…今塗ってんの」

自分の唇を『見ろ』と指差した。
目線を誘導され、そこを見て…
彼の唇が真っ赤に染まっている事に気づいた。

…自分の唇に付けた紅を私に、?

「……ば、かね…そんな塗り方…っ」

呆れるわ照れくさいわで、
うまく言葉が出てこない。
喋っている間に、また
スタンプのようなキスをされ、

「名案、だろ?」

天元はニヤリと笑う。

どこが名案なの。
私だけど、私じゃないって話したばっかりなのに。
その私に対して、こんな事するとか。

「浮気者」

キスの合間に文句を言ってやる。

「…睦なんだろ?」

だから浮気にはならないとでも言うのだろうか。

…まぁ、何とも言えないな…
相手が天元だと思うと、
私だって強くは拒めないもの。

私こそ、ホントの天元に浮気者って
責められちゃうのかな…。

ちょっと、ごめんねなんて思ってしまう。
背中の辺りが
そわそわするんだ。

肩に置いたままの手を、どうすべきか悩む。
口紅を塗る、なんていうのを言い訳にして
優しく唇を弄ばれ、
それが嫌じゃない自分が嫌だ。

「…俺のせいにしてれば?」

触れ合ったままの唇がそんな事を言う。

「俺の目の前で、
目ェ閉じたままじっとされてると
こうしろって言われたみてぇ…」

「自分が…ッ!」

何を言うのか、この男は!


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