• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第25章 時間を超えて。





誘われてるのかな。

そう勘違いしてしまいそう。

「睦…?」

「…うん」

少し目を伏せた私のおでこにキスを…
された…

「ちょ、っと…」

顎を引いて、
これでも精いっぱい抵抗したつもり。

「んー、…腕」

促され、私は素直に袖を通した。

背中の方をパタパタされたり、
きゅきゅっと引っ張られたり、
手早く首の後ろを引き下ろされて
合わせの形をきゅっと整えてから
緩まないうちに腰紐を胸の下にあてられた。

その紐が落ちないように
お互いのお腹をくっつけてから

「睦、悪ィな、
この紐、背中に回してから前で結べ」

「うん…」

言われた通り紐を背中で交差させてから
前へ持って来て結んだ。
たったそれだけの事で

「ん、上手だ」

いちいち褒めてくれて、
緩く微笑んだ天元は
その紐の端を仕舞うように挟み込んだ。
脇の辺りを丁寧に整えてくれる、
その手つきや目つきがひどく真剣で
つい見惚れていると

「…やりにくいなぁ。
俺はそんなにいい男かい、」

こちらをチラリとも見ずに
そんな事を言ってくる。

……

「や、だ……ふふ、うん…
その真剣な目が、たまらない」

素直に乗っかると、
天元は驚いたような目を向けて手を止めた。

「…そんなこと、言うのか…?」

「本当の事だもん。そういうとこ、
逆に色っぽいくらい…、すっごく素敵。
身体が疼くほど」

屈めていた背中をスッと伸ばし、
私の顔の上に被さってくる。

「……な、に?」

「お前なぁ…俺は今、着せようとしてんだよ。
邪魔すんな、脱がせたくなるだろ」

「あ、ぁ…ごめんなさい。
悪いクセが出ちゃった…」

私はぽふっと指先で口元を押さえた。

そんなつもりはなかったのに、
私の方こそ、この人を誘惑してしまったようだ。
誰彼構わず誘惑するクセは
随分よくなったけれど
相手が天元だったから
ちょっと気が抜けていたみたい…。

…でも確かに、
この人は天元であって天元でない…
難しいなぁ…

「どんなクセだ、まったく…」

ボヤきながら、
作業を再開させる天元に、
もう余計な事は言うまいと
お口にチャックをする私なのだった。


/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp