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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第25章 時間を超えて。





それがひどく美しく見えて
俺はつい見惚れた。

…いや、違うだろ。
そうじゃなくて…!

「睦だよ。
だけど、あなたにとっての
『本物の睦』じゃ無いの。
私の恋人は天元だけど、
私にとってはあなたは本物じゃない」

……
睦だけど…

「お前は睦で間違いないが、
俺の睦じゃねぇと?」

「そうそう。さっすが天元」

にっこりと笑った睦は
ぎゅうっと俺の腰に抱きついた。

…可愛いんだがなぁ…
何とも残念なことに
俺の睦じゃないそうだ。

…ん?

「じゃあお前は誰なんだよ?」

「さぁ?…んーと、あなたの睦の、
…ご先祖…?じゃないや、その逆」

「……子孫て事か?」

「わかんない」

「お前何言ってんの⁉︎」

睦に輪をかけて支離滅裂だ!

「まぁいいじゃないの。私は睦だし
あなたは天元なんだから!
しかも着物姿素敵だしねぇ?」

胸元からこちらに目だけを向けて

「その目、そうやって隠すの?
ソレ綺麗だねぇ」

隠した左目を褒める…

さっきコレを見て泣いたとは思えねぇ反応だ。
随分と天真爛漫な女だな。
これはこれで、嫌いじゃねぇ。

しばらく眼帯に見入っていた睦は
何かを思い出したのか
少し身体を離し俺の左腕を確認した。

袖の内に隠した左手の先。
それを見て

「……こっちも隠すのね」

ぽつりと独り言のように呟いた。

「お前が怖ぇだろ…?」

「えぇ…?」

目を見張ってさっきと同じように
俺を見上げた。
ハッとして、ぱちりと目を見開き

「…!ごめんなさい!私が泣いたりしたから…」

悲しげに目を伏せた。

「違うよ?嫌だとか怖いとかじゃないの。
びっくりしただけなんだよ、
昨夜までは何ともなかったのに
急に大怪我してるんだもん…
そりゃびっくりもするでしょ?」

俺に縋って
必死に想いを伝えてくれる睦。

…そういうとこは、同じだな。

「ごめんね、嫌な思いさせちゃった…?」

そんなに不安そうに瞳を揺らされちゃあ…

「…いや、大丈夫だよ」

そう言ってやるより他あるまい。


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