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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第25章 時間を超えて。




片肘を立て部屋中を見渡す。
枕元には水が置いてある。
この布団以外
ほぼ何も置かれていないこの部屋は
きっと寝室…?
背の低いタンスと小さめのテーブル…
なんだか和風というか古めかしいと言うか…

「え…どっか…旅館…?」

違うとわかっていながらも
アホみたいな事を言う私を見て

「夢でも見たのか…?」

不審そうな声を上げる天元。
そんな天元を見下ろしてドキッとした。
2つの、意味で。

「天元、…そのカッコ…」

先に飛び込んで来たのは服装だった。
着物っぽいのを着ていたから。

私があんなふうに言ったから、
もしかして叶えてくれたのかと思って
ときめいた…その瞬間だ。

ぱっと見た天元の顔が…。

左の目を縦に割るような大きなキズ。(※1)
つい布団から抜け出すように
起き上がってしまった。
ひどくショックで…

「天元⁉︎どう、…どうしたの⁉︎」

たった一晩で何があったと言うのだろう。

口元を両手で覆い、驚愕している私を見て

「…おい?どうした睦…?」

私を抱き寄せようとしたのだろう、
天元も少しだけ上半身を持ち上げて
こちらに向かって手を伸ばした…

その手の…手首から先が…

「いやだ‼︎なにがあったのよ!」

私は戦き(おののき)ながらも
その手をぎゅうっと胸に抱き締めた。

どうしたの、
なにがあったの?
誰がこんなひどいこと…!

包帯で巻かれてはいるけれど
なんて痛々しい状態なのだろう。

知らないうちに流れていた涙を
右の手で拭ってくれながら、

「何言ってんだ今更…。
どうしたんだよ?」

天元もものすごく戸惑っている様子…

「だって…」

震える右手を、彼の頬に伸ばす。
可哀想な左手を抱き締めたまま
その頬にキスをした。

もし私が魔法かなにかを持っていて…
こうしただけでこのキズが治る、
なんて事になればいいのに…

「天元どうしよう…」

「どうしようじゃねぇよ、
どうもしなくていいから…お前落ち着け」

優しく言った天元は、
私が抱き締めた腕をそっと抜いて
それを背中に回して抱き寄せてくれた。

慰めるように何度も髪を撫でてくれて
その手の心地よさに、
私の心も落ち着いて行く。

「…大丈夫、なの?」

「あぁ、大丈夫だよ。大丈夫…
お前が泣く事なんてなんも無ぇから」


※1
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