第25章 時間を超えて。
「俺のこと可愛いとか言うの、お前くらいだわ」
その言葉とは、1番縁遠い人間だと自分でも思う。
「そんな事ない。可愛い可愛い。だいすき」
なんじゃそりゃ。
「はいはい、そーかよ」
俺のことを可愛いと言うくせに
自分こそ甘えるみたいに俺に擦り寄ってくる。
文字通り仔猫ちゃんだ。
可愛いのは間違いなく、お前。
「睦」
「んー…ベッド行くの?」
「くく…ここでもいいけど」
「やぁだ。そのまま寝たいもん」
「充分寝られる」
言いながらキスすると
おとなしくそれを受け入れる睦は
やっぱり可愛い。
そうしながらも、何か言いたそうに顎を引く。
だからそれを追って、深く唇を重ね切った。
抵抗しようとする瞬間を見計らい、
それを阻止すべく、
睦の上顎をそっとなぞる。
「…ん、」
甘い声を洩らし、
ぴくりと肩を竦める睦。
そのうち小さく首を横に振り出すから、
頭ごと抱えて、睦の小さな舌を
自分の口内に誘い込んだ。
「ふ、…ぁ」
両腕が肩の上を通り
くしゃっと俺の髪を掴む。
ソファに座っている睦に
覆い被さっていた俺の左肩をぐいっと押して
ついでに右膝を俺の腰に掛け、
ぐるりと体制をひっくり返された。
今度は、ソファに座った俺の上に
睦が跨がる格好。
しかも俺が引き寄せるより早く、
自ら腰を進めて俺のを扱く始末。
キスが好きなこいつを黙らせるのなんか簡単。
悪いが俺は、ベッドまでも待てないワケよ。
だが今や、それは睦も同じ。
もうベッドだソファだなんて言えないだろ?
証拠にほら、
俺のスウェットを捲り上げて素肌を求めている。
「睦ちゃーん、それは俺がやるから」
背中から睦のスウェットを捲り上げ
スポッと抜き去ってやる。
「あ…!」
自分の姿を見下ろして
きゅっと腕を抱いて胸元を隠した睦は
「な、何で脱がすの…っ」
可愛く恥じらって見せた。
「…お前も脱がそうとしてたろうが。
脱がねぇとできねぇし…」
「ちがっ…めくっただけだよ!
脱がなくてもできるし!」
「その方がやーらしー」
「なんでっ?」
「着衣エロってー…
つうか今更なんで恥ずかしがってんの?」