第24章 スルタンコラボ続き 〜睡蓮の恋〜
嚙み付くようなキスを受けているうちに、
頭はボーっとしてきて
これはだめかもと思った瞬間、
顔だけを後ろを向けていた為
無防備に曝された首筋に
あろうことかアシルが唇を落としたのだ。
「んうぅ…っ」
両手を解放される事はなく
満足のいく抵抗ができずにいる私を助けたのは
やっぱり天元だった。
ちゅっと、唇を離してくれた彼は
そのまま自分のおでこをアシルのこめかみに
ごつんと強めにぶつけた。
「痛って‼︎なにすんだ!」
「黙れ。天誅だ」
「なんで!」
「睦に触れていいのは俺だけなの」
「だってまた聴きたい、あの可愛い声」
「アホか!そう何度も聴かせてたまるか」
「天元が始めたんだろ、キス」
「俺はいいだろ。
お前はこいつに話があって来たんだろう。
もう終わったのかよ、なら出てけ」
「出てかない。ねぇ睦、
俺のものになって。
睦は俺を見捨てたりしないだろ?」
なんなのこの兄弟は…。
さっきのキスは?
無かったことになってるの?
だいたい何で今そんな事をしたの?
めちゃくちゃ恥ずかしかったんですけど。
牽制か何か?
…いやアシルにもされたし
全然牽制になってない。
やってる事がめちゃくちゃだ。
「ねぇ!これ何なの?私を巻き込まないでよ!」
たまらず声を上げると
2人は揃って私の事を見て、
片や
「お前を諦めさせるためだ!」
絶念させたくて
片や
「睦を手に入れるためだ!」
その気はゼロ。
「睦、俺のそばにいてくれるよな?」
甘えるような声、
縋ってくる瞳。
愛しい彼とそっくりなそれらが、
彼とは正反対な事をして来て
私の心は簡単にくすぐられてしまう。
そんな私に気づいてか、
「睦は俺から離れたりしねぇよな?」
惹きつけられた心を、きゅっと引き戻された。
「なぁ睦…
俺なしじゃ、いられねぇだろ?」
「っ…!」
私は息を詰めた。
だって天元が、甘えてくるから。
私の肩に顎を乗せて
さっきのアシルみたいに
猫なで声を出したのだ。
どきっと大きく心臓が脈打った。
いつも強くて、
私を包んでくれるこの人に
こんなふうに甘えられると
胸が熱く震える。