第24章 スルタンコラボ続き 〜睡蓮の恋〜
言い回しの違いってすごい。
ニュアンスひとつで
ここまで変わるものか。
天元に言われた時はあんなに頭に来たのに
アシルみたいに言われたら
全然嫌な気がしない…。
ポケっと見上げてしまうばかりの私に
満足そうに微笑んで、
アシルは私のおでこにキスをした。
「……っわぁ‼︎」
慌てて飛びのこうにも、
後ろには天元がくっついているので
そう上手くはいかなかった。
「アシル!話してもいいとは言ったが
誰がキスすんのを許した!」
天元は、アシルから私を遠ざける為、
私ごとぐるりと体を回転させた。
それでも手を掴まれていた事で
私の体は少しだけ残ってしまう。
「だってすっごく可愛かった、さっきの顔!」
「睦はずっと可愛いんだよ!」
「そんなの知ってる。
天元がいない時にいっぱい見たからな!」
「お前のなんか知ってるうちに入るか」
「俺はこれから知れる!
ねぇ睦、俺のものにもなって?」
アシルは真剣な目をして
ぐいっと私の腕を引いた。
天元に抱き込まれながらも
そちらに身体が引っ張られていく。
「え?『も』?」
普通、俺のものニなって、でしょ?
おれのものにモって何?
「そう。天元と別れなくていいから、
その代わり俺とも付き合って」
「……」
返す言葉が見つからない。
この子は何を言っているのだろう?
「そんな事…しないよ?」
息を凝らして、私の返事を待っていた天元は
ほっとしたように肩から力を抜いた。
「どうして?睦、
俺のこと好きだって言ったよな?」
「うん、…言った」
私たちの会話に、
天元の腕に力が入っていく。
大丈夫と落ち着かせるよう、
その腕を撫でた。
「言ったけど、
それとは違う種類の『好き』なんだよ」
そう伝えると
今度は手を握るアシルの手に力が入っていく。
「毎日来てくれた」
「…毎日、ねぇ」
蒸し返される現実に
天元が大きなため息をついた。
「睦が来てくれて、
俺がどれだけ救われたかわかるか?」
アシルは必死に伝えてくれる。
それは素直に、嬉しかった。
「俺みたいな犯罪者が…
罵られたり除け者にされてもおかしくないのに
俺に会いに来てくれたよな」