第24章 スルタンコラボ続き 〜睡蓮の恋〜
不安と焦りに支配されていた私の心が
ふわりと優しいものに包まれたように感じた。
啄むようなキスをされ、
誘われるままに少しだけ唇を開くと
許可を得た彼の舌が、容赦なく口内を這い回る。
一応隠れているとはいえ、
ここが外だという事を
忘れてしまったかのような熱い口づけが
外気の熱と相まって
私の思考を溶かして行った。
上顎を舌先でそっとなぞられると
ぞくりと背筋を何かが駆け上がっていく。
舌を絡め取られ弄ばれて…
「…ふ、ぁ…んん…っ」
ふわふわと気持ちのいい感覚に溺れて
小さく声を上げてしまった気がする…
あぁだめ…
だって、ここどこだっけ…?
「っ!…やぁ、っ」
ふと我に返りそうになった私を窘めるように
首筋にキスを埋められた。
咄嗟に、背に回していた腕を解き、
彼の髪を握る。
「やだ…っ、はなし、んぁあ…」
ここは外だという現実と、
それすら忘れさせてしまいそうなほど
情熱的な彼の唇。
やめてほしいのに
その熱を必死で追ってしまう自分もいて…
だいたいどうしてこんな事に…?
あぁそうだ。
私が焦っていたから…
落ち着かすため?
でもこれじゃ、
落ち着くどころか興奮する…。
「も、だめ…やめて、…は、ぁん…っ」
強めに髪を引っぱると
「…かわい…逃げらんねぇの」
揶揄うように…
でもひどく愛しげにひと言洩らす。
逃げられないよ。
だって…
「んぁ…っ…きもち、の…」
素直に吐露する私の背中を
更に強く抱きしめて
「これ以上する気ねぇけど、
あんま可愛いとそれも保証できねぇよ…?」
「や…それは、だめ…!」
軽く吸い付いたり、
舌で舐め上げたり、
こすり付けるように歯を立てたり…
そのうち膝がカクカクと揺れ出して
力が抜け切ってしまいそうになる。
それに気がついても
やめる気はないみたいで
支えるように抱きしめてくれた。
弱い首筋を執拗に愛撫されて
困惑するけれど
拒むも逃げるもできない私は
ただただ堕とされるばかりだった。
パキッと、枝を踏む音が聞こえるまでは。
見えない敵から睦の存在を守るように
咄嗟に腕の中に抱き込んだ。
睦も瞬時に全身を凍りつかせ
縋るように俺にしがみついてくる。
俺としたことが
まったく気づかなかったよ。