第24章 スルタンコラボ続き 〜睡蓮の恋〜
「つぅか俺紅茶飲まねぇぞ」
「誰が天元様の分って言いました?私のですよ」
…なんつぅ執事だ。
「お前仕事中だろ」
「まぁまぁ、
天元様しかいらっしゃらないわけですし
今だけお許しくださいな。
もう毎日町に出るのもくたびれちゃって…
これから3日の間
行かずに済むかと思うとホッとして…」
ちゃんと、椅子に着席してから
ティーカップに口をつけた。
「…なんで3日間は行かねぇの?」
「王様が怪しんでいらっしゃるからです」
「へぇ…。まぁそうか。
毎日お前の姿が見えなくなりゃ
親父だって怪しむだろうな」
「天元様の大切なお方を
毎日連れ出してるなんて知れたら…」
さすがに親父も…
「自分も行くって言い出し兼ねませんので」
……
「てめぇヒトの親父を何だと思ってやがる」
「…言い出しそうじゃありませんか?」
声をひそめるアーディルに、
俺は少しだけ考えてみるが……
「まぁ。言うだろうな。確実に」
「でしょ?そうなったら面倒ですもの。いろいろと。
というわけで、今日明日明後日と、
私は自分の仕事に専念できるというわけです」
もうひと口、紅茶を飲んだアーディルに、
ひとつの疑問が湧き上がる。
「…断ればいいんじゃねぇの?」
「はい?」
早くもカラになったティーカップを
ワゴンに戻しながら
アーディルは不思議そうに訊く。
「睦の申し出を
断りゃよかったんじゃねぇの?
外へ行くなんて無茶な頼みを」
そうだ。
そうしたら俺も、気を揉むことはなかったのだ。
「この私が睦様のお願いを断れるとでも?
あのお可愛らしい睦様のお願いでしたら
なんでも叶えて差し上げますよ」
「…お前絶対ぇ、
俺の神経逆撫でしてぇだけだよな?」
「何を仰られているのか全くわかりませーん」
やな執事。
「4日後、俺が睦とアシルんとこへ行く」
そう告げると
驚いて振り返るアーディル。
「天元様が?」
「あぁ。行きたそうにしてたし、
ちょうど公務もねぇんだ」
「それはそれは」
アーディルは厄介払いが出来たとばかり
にやりと笑って見せた。
…そんなに面倒なくせに
睦の願いというだけで断らねぇのか。
相変わらず愛の男だな。