第24章 スルタンコラボ続き 〜睡蓮の恋〜
「あら?あの子なにか粗相を致しましたか?」
アーディルさんの顔が指導者になり
厳格なものへと変わった。
私は更にかぶりを振る。
ほっぺたが熱く感じた…
「昨日、あの侍女に見られたからだろ、
俺といる所」
「天元様と?別にどうって事ありませ…」
「ベッドの上にな」
「リズク!お前いつからそんなに
デリカシーのない男になった?」
うわ…また……
「わぁお…昔を思い出すな。体が竦む」
言葉通り、両腕を抱き
懐かしむような目で天元は笑った。
「全てを叩き込んだつもりでいたのに
あれでも通用しないのか。
大切なものほど失くしやすい。
身をもって知る前に何とかしないと
絶対に後悔するぞ」
アーディルさんは更に目を吊り上げる。
…本当のアーディルさんって
こうなのかしら。
なんだかとっても素敵…
いつもの柔らかいお姉さん風も好きだけど。
公私を分けるタイプなのかしら。
それはそれでまた素敵。
まじまじと見つめてしまった私に気がついて
ふっと表情を和らげた。
「天元様以外の者に
そんな目を向けるものではありませんよ。
男はすぐに勘違い致しますから」
「…っどん″な…!」
「はい、喋らない」
人差し指と中指で
私の唇を押さえた。
…どんな目をしていたというのだろう。
「おい、俺の目の前でよくやるな」
「怠けていたらすぐに奪われるってとこを
見せつけてやろうか?」
アーディルさんは容赦なく言い放った。
そっか…
この2人はこういう関係だったんだ。
小さな頃から、
気の置けない間柄だったんだろうな。
いいお兄さんみたいに見えてきた。
…お姉さんではなく。
私が少し目線を落とすと
細くて繊細な指が私の顎を掬い上げて
「どうされましたか?
俯いてはいけませんよ。さて、
引き止めて申し訳ございません。
アホ王子のせいで、
ジャナと顔が合わせづらいのなら
この紅茶は後ほど私がお持ち致しましょう」
「……どこに″…ですか?」
アーディルさんの言葉を飲み込み切れずに
私が訊くと
「え?もちろん浴室に」
にこやかに答えるアーディルさん…
「おい‼︎」
私よりも早く
天元が抗議の声を上げた。