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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第24章 スルタンコラボ続き 〜睡蓮の恋〜





機嫌を損ねかけて、

「そんなこと言ってないでしょ…!」

慌てて否定するも、
他のうまい言い訳が見つからない。

「お前まさか、
アシルに会いに行くのが目的じゃねぇだろうな」

間合いを詰められ、
眼前で睨みつけられた。

「パンケーキ!の、ついでにアシル!
天元も弟が心配でしょう!」

ヘタな言い訳は通用しない。
それならウソをついてでも
それらしい事を言った方が賢明だ。
しかも『弟』を強調したつもり。

そう思ったのに、

「あいつの心配は俺がする。
お前は、誰のことだけ考えてりゃいいか
まだわかってねぇのか?」

大きな両手でガッと後頭部を掴まれて

「それともわかっててわざとやってんの?」

火を灯したような瞳が迫って来た。
こんな状態の天元に押し倒されでもしたら
私は間違いなく狂ってしまう。

「違う!行かないから落ち着いて…」

そう言って彼の胸を押し返すも、

「行かねぇのは当然だ。
今後そんな気が起きねぇようにしてやるよ」

そんな事を囁かれ、
翌朝、高く陽が昇るまで
ひどく甘い時間を………




「…睦…?」

アシルに呼ばれて
現実に引き戻された。

「ごめん!あの、…余計なことするなって…」

しどろもどろになって答えた私を見て

「…甘いお仕置きでもされました?」

アーディルさんが覗き込む。

「なっなななにを仰るんですかッ」

「あらあら」

顔から火を吹く勢いの私を見て
ふふっと笑って見せた。

「甘い…?」

アシルが首をひねると、アーディルさんは

「だからですね、…」

と、アシルの耳元に口を寄せ手を添えて内緒話。

「アーディルさん!余計なことを…!」

慌てて止めに入るが、時すでに遅し。
アシルは少しほっぺを赤らめながらも
小さく笑って、

「仲が良いんだな」

なぜか淋しそうに言った。

だから私はその時、
あぁ、大好きなお兄ちゃんを取られたと
思っているんじゃないかしらと
少しだけ心配になったんだ。

あんな罪を犯したのも、
元々は天元に目を向けてもらいたかった所から
始まっていた程だ。

利益目的で
自分を利用しようとする大人たちに囲まれて来て
救いは天元だけだったのに、
歴然とした差を見せつけられた結果、
それが可愛さ余ってナントヤラ、に
なってしまったのだから。


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