第24章 スルタンコラボ続き 〜睡蓮の恋〜
でも、仲良くしたいと思って
すぐにそうなれるものじゃない。
時間をかけるしかないよね…
そんな私の心の内に気がついてくれたのか
天元が私の手を握ってくれた。
パッとそちらを見やると
優しく微笑んでくれる。
それに少し癒されながら
私も微笑み返すと
「天元様‼︎」
聞き覚えのある声がその場に響いた。
途端、天元の首ががくりと落ちる。
「大臣たちが!
みんな待っているというのにあなたって人は!
時計が読めないんですか⁉︎」
ものすごい剣幕でやってくるのは
王様付きの執事アーディルさん…
…えぇ⁉︎天元お仕事あったの⁉︎
午後は休みと聞かされていた私は
驚いて彼を見上げた。
「何なんだよお前は。
だいたい何でアーディルが来る?
お前は親父にくっついてるはずだろ」
「王様の執事は潤っております。
私以外の者を教育中ですので
本日私は免除されているのです」
何食わぬ顔で言ったアーディルさんは
ふと私の存在に気がついて、
「睦様ぁ!ご機嫌麗しゅうー、
また今日もお美しいですねぇ」
にこにこと言って
私の頭を優しく撫でてくれた。
わぁ…、
言った。
模範的なあの挨拶…
ご機嫌麗しゅう…
「ほんと可愛いんだから睦様は」
この人は日に日にお姉様みたいになってくわ…
私の頭からほっぺたにかけてを
何度もなでなでしてくれるアーディルさんに
「気安く睦に触んじゃねぇよ!
誰のだと思ってんだ!」
天元は半分本気で怒鳴り散らした。
「えー天元様最低。
睦様のこと何だと思ってるんです?
ねー睦様?」
アーディルさんは
私の頬を掌で包んだまま
『ねー』と首を傾げる。
可愛い仕草だなぁ。
そして相変わらず、この人がいると
場が華やぐ。
「いいんですアーディルさん。
ありがとうございます」
「あら睦様ったら可愛らしい。
暴君にご理解を示して下さり
ありがとうございます」
暴君…。
「アーディル、俺お前になんかしたか?」
天元はあまりの言われように
自分が悪い事をしたのかを考えだした。
「私にではありませんよ。
女性をモノ扱いしてはいけませんと
申し上げているのです」
私の事を憐れむように
両腕でそうっと頭を包んでくれる。