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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第24章 スルタンコラボ続き 〜睡蓮の恋〜





「終わった事をとやかく言う気はないよ。
今のアシルを見てたら、
もう大丈夫ってわかるもの」

結局地面に座り込んだ私たちの隣に膝を折り
私の言葉を聞いているのは
間違いなく毒を抜かれて、
何の害もないただの優男。
そんな印象だもん。

それでなくても愛しい人の近しい人だ。
嫌いになんかなりきれるはずがない。

天元がアシルを大切に思っているのも
ひしひしと伝わってくるから余計だ。

「…ありがとう」

頬を染めて下を向くアシルが…

可愛い。

私はつい、アシルを見つめてしまった。
なんなら下から覗き込んで
その顔を見てやりたいくらいだ。

陽の光を受けて
アシルの黒髪がキラキラ光っている。
そこに、手を伸ばして
髪の感触を楽しんでみた。

「…なに、してんだ」

照れながら戸惑っているアシル。
その言い方が天元そっくりで
眼差しだけじゃなくて
声も似ていることに初めて気がついた。

「…兄弟だねぇ」

つい呟いた私の手を掴み、
アシルの頭から何気なく戻した天元は

「どこらへんが?」

目の前の、小さくなった弟との共通点を
探すかのように眺めながら問う。

「目と、声がそっくり。あと、たまに話し方」

髪の色は真反対だし
性格も似ていない。

「へぇ。考えたこともなかったな」

目から鱗、というように
天元は目を見開いた。

「……」

アシルはアシルで
さっき私に撫でられた頭に手を充てたまま
何かを考え込んでいる。

あ、頭なんか撫でて悪かったかな。
子ども扱いされたと
気分を害したのかもしれない。

「…ごめんね。
別に子ども扱いしたわけじゃないの」

ひどく悪い事をしたような気になって、
何も言われていないのにも関わらず
なぜか責められたような気がして
勝手に謝ってしまった。

「…え?あぁ、何ともない」

顔を上げてそう言ってくれたアシルは
私と目が合うと、
それを避けるように目を泳がせて
そっぽを向いた。

やっぱり、まだ仲良くはできないのかな…。
罪悪感はなかなか消せないよね。
いくら私が許すと言っても、
そんなに簡単に己は許せないか。

わかってはいるけれど、
ちょっと淋しいな…。



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