第24章 スルタンコラボ続き 〜睡蓮の恋〜
自己嫌悪に陥る私に頬を擦り寄せて
「いや、そんな事ねぇよ。
睦がああしてくれて
アシルは救われたはずだ」
優しく慰めてくれる。
「気持ちはどうあれ…
態度に出したらだめだったのに」
もうちょっとスムーズに動けると思ってた。
想像と現実は
こんなにもかけ離れていたのか…
「もう充分だ。アシルだって
そんなにすぐにどうにかなるとは思ってねぇよ」
「傷つけちゃったかな…」
「それだけの事したんだ、しょうがねぇだろ」
「でも…」
「あいつの事は今はいいから…。
お前顔色まっ青だぞ、
全然大丈夫じゃねぇよな?」
「…まっ青?」
そう聞かされて
およそ大丈夫な気はしなくなった。
「あぁ、ちょっと落ち着こうな…」
よしよしと髪を撫でてくれる、
その優しいだけの行為を全神経で追っていると
いつの間にか眩暈をおこしていた私が
だんだんと落ち着いていく。
自分の事をわかってくれている人がいるのって
なんて安心するんだろう。
しばらくそうしてもらって、
やっと全身から力が抜けたのを感じた。
力が入っている事にも気づかなかった…
「ありがと…」
「んー…よくなったか?」
「なった、と思う」
そう言った私の顔を覗き込み、
「あぁ、もう大丈夫。…つうか
俺がいればお前は大丈夫」
おでこにちゅっとキスをされ、
外だから!と文句を言いかけた私の耳に
「睦ごめん。大丈夫か?」
と、…アシルの声が届いた。
私は慌てて天元の胸から離れて
「大丈夫よ!こっちこそごめんね」
用意されていたかのような模範解答を口にした。
いつからいたの?
どこから見てた?
そればかりが気になって
私はうまく返せたのかもよくわからなかった。
私の慌てっぷりに天元がくすりと笑い、
「アシルは、これから挽回するもんな。
お互い謝る必要なんかねぇよ」
助け舟を出してくれる。
「うん、わかってる。
…アシル、誤解しないでね。
私アシルのこと好きよ」
「…え…」
アシルは驚いて私の事を見た。
そんなに予想外だったかな。
でも、ちゃんと言葉にしてあげないと
この人は前に進めないような気がして。