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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第24章 スルタンコラボ続き 〜睡蓮の恋〜





「こんだけ美味そうに食ってもらえたら
作り甲斐もあるってもんだ。なぁアシル?」

天元に言われ、アシルは
小さく頷くしかなかったと思う。

店に戻るからと去りかけたアシルを引き止め
自分の隣に無理矢理座らせるという暴挙に出た天元は
満足そうににっこりと笑った。

それにしても。

目の前に並んだ兄弟の
何と美しいこと。
天元は言わずもがな、アシルの方も
よく見れば
作りものであるかのように整った顔立ち。
母親が違うからかタイプは違えど
色濃く残る共通点は目の色と形。

それらに見つめられながら食べるパンケーキは
なんとも贅沢だ。

「お前ひとりで完食できるだろ」

にやりと浮かべる意地悪な笑みを見た瞬間、
『太るの覚悟の上だな』…
さっきの天元の台詞が頭を掠めて
私はハッとした。
美味しくて、食い尽くしている場合ではない!

「そんなわけないでしょ、はい、あーん」

切り分けた一切れをフォークに刺し
天元の口元へと持っていく。

「……」

それを無言無表情で頬張り、
味わうようにゆっくりと咀嚼すると
しっかり飲み込んでから、

「…珍しいな、いつもならフォーク渡すだけなのに
このサービスはどういう風の吹き回しだ?」

訝しげに目を細める天元。

やましい事があると
いつもと違う行動に出てしまいがち。
…別にやましくはないけれど
それでも私の一瞬の焦りは彼に伝わっていた。

「たまにはいいでしょ?
私が食べさせてあげたらおいしさ倍増」

「ぷ、…どうせ全部食っちまいそうだったから
フォークの行き先、
慌てて方向転換させたんだろ?」

あら、

「ふふ…そうとも言うけど」

すっかりバレている。
この人に隠し事をするのは難しい。
観察眼が鋭いのかな。

だから私は、ヘタに隠したりしないんだ。
隠したくて隠せることはそうするけれど、
バレてしまった事は
素直に曝すようにしている。

「そうとしか言わねぇだろ。
…アシル、これは美味いな。
睦がやめられねぇのも頷ける」

「ありがとう」

賞賛を浴び、素直にお礼を言うアシル。

すっかりいい子になっている。
お世話になっているご夫婦のおかげだろうか。



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