第24章 スルタンコラボ続き 〜睡蓮の恋〜
「睦も…来てくれてありがとう」
目も合わせないまま、更に照れたように言った。
少し違和感を覚えつつ
「うん、新作食べに来たよ」
食べたいアピールをしてみる。
すると慌てたように、
「あ…!そっか、焼いてくる」
その場から離れようとするので、
私はアシルの腕を取って引きとめた。
「待って!まだいいから…。
兄弟の再会を楽しんで?」
「再会って大袈裟な…
俺これでも割と頻繁に顔見に来てるぞ」
「知ってる知ってる。
天元はアシルが心配で仕方ないのよね」
「そりゃそうだろ。可愛い弟だ。
心配もする」
こういう時、天元は照れも見栄もなく
素直に胸の内を曝け出す事ができる。
そういう所がとても素敵だ。
「可愛いってなんだ。子ども扱いするな」
ぶっきらぼうに言うアシルに
天元は余裕で笑い、
「悪ィ悪ィ、そんなつもりじゃねぇよ」
アシルの肩をぽんぽんと叩いた。
その手いっぱいに持った荷物を思い出した天元が
「あ、そうだ。ほらコレ、お前にやる。
ちょっと買いすぎちまったんだ。
必要なモンばっかだからありがたく受け取れよ?」
そう言ってそれらを全てアシルに押し付けた。
しかももらった分以外の、
自分で購入したものだけだ。
そういう心遣いはさすが。
「えッ⁉︎こんなに?」
驚いたようにお礼を言うアシル…。
「……」
私は無言で天元を見上げてしまう。
…なんだ。
アレらは、みんなアシルのためだったのだ。
町が潤うためだなんて言いながら…
結局はアシルが可愛いからじゃないか。
そんな言い訳、する必要があったのかと思い
つい笑い出した私を、天元が鋭く睨む。
「なんか文句あんのか睦」
「いえいえ、ございません天元様。
ふふ、よかったねぇアシル?」
「ん…あぁ、…?」
私たちの会話を聞いて
尚、わけのわからないアシルは
しきりに首をひねっていた。
その姿の可愛らしさにも、
やっぱり私は笑ってしまうのだった。
「あ、店も空く時間だ。
そろそろ作ろうか?食べてくれる?」
「当然だろう、食いに来たんだ。
作ってくれよ」
「わかった、新しいヤツだよな?」
楽しみにしていた新作パンケーキ。
生クリームとフルーツがたくさん乗った…。