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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第23章 こいびとおにいちゃんズ。の彼女





「調子に乗りますよ?」

私はたまらなくなって、
杏寿郎さんにぎゅうっとしがみつく。

「調子に乗っている睦の姿なら
いつまでも見ていたいものだ」

その背中を、優しく抱きしめてくれた。

さっきまで悩んでいたのが嘘のように
スゥっと不安が消えていく。

私は何を、悩んでいたんだっけ…

そんなふうにすら感じてしまうほど。
…私も、随分と現金な女だ。

「これからは何事も1人で抱えずに
何でも言って欲しい。強いて言えば、
それが俺の、睦に求める事だ」

耳に心地いい、優しい声色。
私の心を一気に落ち着けてくれる、
何にも変えがたいもの。

「そんなことを言ったら…私は本当に
ダメな人間になりますよ」

「俺にだけなのだから許されるだろう。
当の本人が、それでいいと言っているのだ」

「…いつから私の甘やかしが
そんなにひどくなったんですか?」

最初はもっと、
線引きがされていたように思うのに。

「睦の事を愛しく思う度にだ」

「もう人が変わっています…」

「そうか…?嫌いか?」

「嫌いなわけがありません…。大好きです」

あ…。

つい本音が口をついた。
どんな顔をしたらいいかわからず、
杏寿郎さんの胸に顔をうずめて隠す。

それに気づいた杏寿郎さんは、

「…今、可愛い事を言ったな」

嬉しそうな声を上げて
私の顔を上向かそうと頬に手を掛けた。

「みっ見たらダメですよ!」

「可愛い顔を見たらダメなのか?」

「ダメです!恥ずかしいので…」

「恥ずかしがる事ではないだろう?」

あぁ、どうして今日に限って
こんなに食い下がってくるの?

「わ、私のいいのがいいんですよね⁉︎
じゃあやめて下さい!」

恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
熱いし、心臓もばくばく言っている。

「しかし君は俺のいいように
してくれようとしていた筈だ。
なら俺は、今睦の顔が見たい」

「え…っ⁉︎そんな…
今そんな事を言うなんてズルいです…!」

「叶えてはくれないのか…?」

少し淋しげに落ちた声音。
あ、と思いつい上げてしまった顔。

そんな事をした自分に、
私は思い切り後悔した。




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