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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第23章 こいびとおにいちゃんズ。の彼女





ひどい誤解をさせてしまった!

「杏寿郎さんに不満なんかありません!
ただ、…私の、わがままな気がしてきて…」

そう。
こうなると、
そんな事を考えた自分の方が
悪かったような気がしてくる。

「わがままでもいい。理由がどうあれ、
俺が原因であるなら、知っておきたい」

相変わらず真面目な人…。

でもここまで言われてしまっては、
私も黙っているわけにはいかない…。

「あの、私に…気を遣って下さって
ありがたいのですが、もう少し…
ご意見を聞かせて戴けると嬉しいです…」

「……」

杏寿郎さんは私を見据えたまま
首をひねって見せた。

「……すまない睦。
何の事を言っているのか、
もう少し説明をしてくれないか」

申し訳なさすぎて、
詳しく説明するのを避けたい私は
必要最低限の言葉で伝えたものの、
…見事に伝わらなかった…。

当然だ。
大切な部分をはしょっているのだから…。

「気を悪くしないで下さいね?…あの…
私、杏寿郎さんにたまに訊くと思うんです。
夕食に何を食べたいかとか、
2人でお出かけする時に何処へ行くかとか…」

仕方なく始めた私の話を
杏寿郎さんは頷きながら聞いてくれていた。

「そういう時、杏寿郎さんは決まって
私のいいのはどれかと訊いてくれるんです。
それは、…私に選ばせてくれるという事で
とっても嬉しいんですけど、
私は杏寿郎さんの良いのが良いので…
私が訊いたら答えてもらいたいって言うか…」

…段々と、自分でも何を言っているのか
わからなくなってきた。
うまく伝えられない上に、
可愛くない事を言ってしまった自分に嫌気がさして
つい下を向く。

私の、そんな辿々しい話を
ずっと真面目に聞いてくれていた杏寿郎さんは
私の手をぎゅっと、握ってくれた。

ハッとして顔を上げると
いつもの笑顔を湛えた杏寿郎さんがいて…

「睦、前にも同じような事を言ったな」

可愛くない私に、
杏寿郎さんは果てしなく優しい声で言う。

そんな声を聞いてしまうと、
泣きたくなってくるよ。
情けないな…

「あの時は、着物の柄と紅の色
それから髪型だった。
俺の好みを纏いたかったんだったな?」

「…はい」

よく、覚えている…。



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