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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第23章 こいびとおにいちゃんズ。の彼女





そんなに答えを
私に委ねるような人ではなかった。
何かを訊けば、こうしたらどうだと
ちゃんと意見を聞かせてくれていたのに
ここ最近、あまりに私の事を気にかける。

私の事を考えてくれてるんだなと、
最初のうちこそ喜んでいたが
それがあまりにも過ぎるような気がするのだ。

私が訊くことに答えるのが
面倒なのかなと思ってしまう程に…。


「…お待たせしました」

風を通すためなのか、
開け放たれた襖の影からそっと声をかけると
にこっと振り向いた杏寿郎さんが

「ありがとう!」

とこちらを向いた。
少しだけホッとして、
テーブルを挟んで杏寿郎さんの向かいに座る。

お茶とお茶菓子をそこへ置くと、

「どこへ行っていたんだ?」

と穏やかに訊かれた。

「最近できたお友達の所へ…」

「そうなのか!」

やけに嬉しそうに目を見開く杏寿郎さん。

「はい」

「友達ができたのか!よかったな」

終始にっこにこだ。

…相変わらず、優しいな。
まるで自分の事のように喜んでくれる。

「杏寿郎さん…」

「なんだ?」

にこっと返事をしてくれる杏寿郎さんは
まったくいつもの通り。
私の、思い過ごしのような気がして

「……いえ…。なんでもありません。
ごめんなさい」

私もにこりと笑みを返した。

面食らったような杏寿郎さんをそのままに
私はお盆を抱えて立ち上がった。

「睦…!」

「はい?」

名前を呼ばれて振り向くと
思いの外、真剣な双眼に出会して
私こそ目を見張ってしまう。

何事でしょう…?

「どこへ…?」

「……え?」

どこへ?

あ、

「玄関のお掃除でもしようかと…
あと洗い物がたまっていますので」

「あ、ぁ…そうだな。…俺も手伝おう」

手伝う⁉︎

「杏寿郎さんはそのお茶を飲んでいて下さい!」

「何故だ。俺にはやらせてはもらえないのか?」

「私の仕事ですから」

「誰が決めたんだ」

「えッ⁉︎……」

…確かに。
決まってはいない。



でも今まで
当たり前のように私がやって来たじゃない。
どうして今そんな事を言い出すのやら…。

「…とにかく!私はこのお屋敷に
置いて戴いているのですから
その分働かなくてはなりません。
私の仕事をどうか取らないで下さい」



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