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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第23章 こいびとおにいちゃんズ。の彼女







町の商店街を抜けて
閑静な場所に入る。

1人、家までの道を歩いて行く。
近づくたびに、彼の顔がチラついて…

さっきも話したけれど、
あの違和感はなんだろう…

彼と朝ごはんを一緒に食べた。
その時は特に何も感じなかった。
普段通り、楽しく会話をしておいしくいただいた。

それが
杏寿郎さんのお部屋にお茶を出した時から
急に始まったのだ。

もともとそんな節はあった。
いつも優しい彼の事だ。
特におかしい事もないのかもしれない。

でもあまりにも答えが曖昧で…
何を訊いても、
『睦はどうしたい?』と訊き返される。

……前にも同じようなことがあった。
でもそれは解決済み。
私に対する好みは
きっちり伝えてくれるようになった。
今回のは、私に関する事以外のすべて。

一体、何があったというのだろう…

そんな事を考えるうちに、
早、屋敷の前。

大きく息を吸い込み、
私は門をくぐったのだった。





お茶を出しがてら、
様子を見に行こうかなぁ…。
そう思って台所にいると、

「睦おかえり」

背中から突然、声がかかった。
驚いて背筋をぴんと伸ばした私は

「ただいま、帰りました」

ゆっくりと振り返る。

「あの、お茶はいかがですか?」

「あぁ、戴こう」

にっこりと笑う杏寿郎さんは
いつも通り優しく微笑んだ。

そのままお部屋の方に戻っていく杏寿郎さん。
別に、何の変わりもなければ
本人も何も思っていない様子。

私だけが、違和感を覚えているのだ。


杏寿郎さんは、私の幼馴染。
その昔私は両親を失った。
その頃から、このお屋敷に厄介になり
身の回りの世話をさせてもらっている。

いつもそばにいてくれて、
私の不安を取り除いてくれる優しい彼は
ちょっと優しすぎる節があって
なかなか本音を見せてくれない。

私がした質問の答えは
『睦はどうしたい?』
『睦ならどう思う?』
ほぼそうやって、返されるのだ。
そして『ではそうしよう』と言われてしまう。

私は、杏寿郎さんに訊いているわけで、
…私の意見はどうでもいいのに。

杏寿郎さんの、
本当にしたい事ができていないような気がする。
彼の本音は、どこにあるのだろう…。


そんな事を考えているうちに、
30分ほど経っていた。


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