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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第23章 こいびとおにいちゃんズ。の彼女





でもそんな事には構わない。
私の手は止まらない。

これは、脅しの材料なんかではないのだ。
出て行くと言ったのは、
紛れもなく私の本心だ。

「睦、ちゃんと話すから。
後生だから聞いてくれ」

私の両頬を掴み、
くるりとそちらを向けられる。
その私の手には、
数年前に一緒に行った夜祭りで買ってもらった
おもちゃの指輪。



『そんなモノどうすんだよ』

『結婚指輪みたいでしょ?』

『ばァか。おもちゃじゃねぇかよ』

『いいの今は』

『じゃいつか本物やるから
それまでのツナギだなァ』



そう言って、にっこりと笑ってくれたっけ。
あの時は…あんなに楽しかった。
何でも笑って話せたのに。

その指輪を見て、ボロボロと泣き出す私に
実弥さんはひどくツラそうな顔をした。

「睦…。泣かないでくれ。
泣かせたのは俺だけど…
俺のやり方が間違ってた。認めるから」

これを、この人に投げつけてやれたら
どんなにいいだろう。
スッパリと踏ん切りもつくだろう。
でもそれを出来ないのは、
まだ気持ちが残っているから。

悔しいことに、私はこんなにこの人が好きなんだ。

実弥さんは絶えず涙を流す私を
抱きしめようとする。

でも私は、もう戻りたくないと
激しく抵抗した。
こんな所で絆されたりしない。
いくら、まだ好きだからと言って、
同じことを繰り返すのはツラい。

「離して…イヤだ」

「行くな睦」

「どうして今更そんなこと言うの?」

「お前しかいねェ。好きだからだよ」

さっき自分で言った事を
ちゃんと守ってる。
怒鳴ったり、大声で誤魔化したりしない。
それでも…

「ずるいよ実弥さん…。
今まで散々冷たくしたくせに…
私が居なくなると思って惜しくなったの?」

私の気持ちは折れたんだ。
それはもう見事に。
これを修復できるのは…。


「違う。勘違いしてんじゃねぇよ。
俺は変わらず…いや、日を追うごとに
お前が好きな気持ちが大きくなってった」

「……な、に…?」

なんて?
……

「ただの、…あ″ー!ただのヤキモチだろ!
わかれよニブいヤツだな!」

「はぁ⁉︎私が悪いの?」

「いやいや、違う!俺が悪ィ。
完全に、俺」

慌てて言い直す実弥さんは
まるで別人のようだった。


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