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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第23章 こいびとおにいちゃんズ。の彼女





「もう…。もう、いいです…」

「オイ睦…」

「いいですよ。私はただ、
実弥さんと仲良くしたいだけなのに…。
それもわかってくれないんですか…?」

声が震える。
涙が出てしまいそう。泣いたらだめだ。
泣くな私!
女の涙なんか、慰めてくれと言ってるようなもの。
そうされたいわけじゃない。

そもそも、女の武器が通用する相手じゃない。
どちらかと言えば、泣かれたら引く男だ。
そう思っていたのに、

「睦…?」

気遣わしげに、私に伸ばされる手。
髪を撫でようというのか、
それとも抱きしめる?

…煩わしい。

そんな事を思ってしまった。

私はその手をパシッとはたいた。

あぁなんて事をしてしまったの。
余計に拗らせるだけなのに…。

だけど、
これを我慢したらいけないような気がするんだ。
このまま惰性で、こんな関係を続けていても
お互いの為にはならない…。

……惰性…?

そうか…

そうだ。
この人のそばにいるだけが
私の人生じゃない。
他の道だってあるかもしれない…。
どうして勘違いしていたのだろう。
この人のそばにいるしかないって。

こんな思いをしてまで、
ここにいる理由はあるのだろうか…。

「……」

手を思い切りはたき落とされた実弥さんは
なんとも言えない表情で私を見つめていた。

私が、ある決意をした事も知らずに。

「睦、確かにお前の言う通りだ。
何の説明もなしに怒鳴ったりして…」

悪かった、そう、言うのだろう。

「いいです」

でも、いい。

「…な、に?」

「もういい」

「睦?」

私はふらりと和箪笥に向かい
大きな扉を開けた。
そこから大きな風呂敷を取り出して畳に広げ、
その上に自分の持ち物をポイポイと
放って行った。

着物はダメ。
実弥さんが仕立ててくれたものだから。

ここへ来るときに……
一緒に暮らし始めた日に持ってきた
自分の持ち物だけを持ち出さないと。

「…オイ…何してやがる…?」

私の行動を後ろで見ていた実弥さんは
驚いたような、認めたくないような
フラついた声を上げた。

「お前…」

「出て行きます…」

「睦‼︎」


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