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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第3章 意路不倒





宇髄さんが私の手を取る。

「はい」

私はその手に行方を預けて、ゆっくりと歩き出した。

「宇髄さんすごい跳べるんですね。びっくりです」

「あのくらいならな」

「何してもかっ、……」

「……かっ?」

「…」

「かっ、…何だ?」

顔だけ振り向いてニヤッとする。
わかっててやっているのだこの人は。
悔しくてふいと顔を背けてやる。

「かっ…こいいって?」

「〜〜もうっ‼︎そうですよ!
カッコイイカッコイイ!」

空いた手で宇髄さんの肩をボスボス殴る。

「痛ぇいてぇ」

あははと笑って、…全然痛そうじゃない。
あぁもう…
いつの間に
こんなにかっこよく見えるようになったの。
おかしいじゃない。
こないだまで、全く好きなんかじゃなかったのに。
こんなに変わるもんかな…。
悔しいなぁ。

悔し紛れに、しつこく肩をべしべし叩く私に
嬉しそうに笑いながら、
私の手を引いてゆっくりと歩いて行った。











家に着き、
私が履物をぬいで式台に上がると
宇髄さんはぎゅっと私を抱きしめた。
私も抱きしめ返すと、

「今日はありがとうございました。
おじちゃんたちにも、はっきり言ってくれて嬉しかったです」

甘えるように頭を預けた。

「…本当の事だからな」

優しく頭を撫でてくれる。
こうされるのが大好きだ。
とっても心地いい。
目を閉じると、おでこに口づけされる。
ぱちっと目を開けて、頭をもたげた。

「…何で逃げんだ」

「…いや…びっくりして」

「慣れろよ、そろそろ」

「えー…そう言われても…」

条件反射みたいなものなので難しい…

抱きしめていた手を離そうとすると、
ぐっと力を入れられてさっきよりも強く抱かれた。

「好きだ睦」

何の脈絡もなく告白されて、どきっとする。

「睦は?」

手を緩め、私の目を見て訊く。

「…好き」

何とか答えると、宇髄さんは満足そうに微笑んだ。
私はまた、この間と同じ既視感にとらわれ、
宇髄さんの頬に両手を当てる。
…私、きっと知ってると、思うんだ。

宇髄さんは少し首を傾けて私の手をすり抜けると
そのまま私に口づけを落とした。
行き場を失った手で、
彼の頭の後ろ、髪に触れてみる。
すると少しだけ、深まる口づけ。



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