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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第22章 お兄ちゃんのお見舞い





「別に、悲しくて泣いてたわけじゃありません。
考え事をしてたら勝手に涙が出て来ただけで…」

「…何考えたァ」

不機嫌丸出しの不死川に
睦は怯えたように肩を震わせた。

…不死川に怯えるなんて
確かにまだまだ本調子だとは言えねぇな。

「おい」

窘めるように軽く睨むと
不死川はバツが悪そうに頭を掻いて

「泣くほどの何があったか話せるか」

言い方を変えた。
ちゃんと優しい言い方ができるじゃねぇの。
うんうんと頷いて睦を再び見下ろすと
言いにくそうにしながらも

「自分は、なんて無知だったんだろうって…」

何とかひと言を押し出した。
俺はそれを聞いて
睦の頭を自分に押し付ける。

「…宇髄さ…」

見上げようとした睦を制し、

「…睦それは後で俺と話そう。
不死川、預からせてくれ」

頼む、と目で訴える。
ありがたい事にそれだけで
理解してくれた不死川は
睦の隣にどさっと腰を下ろし

「ホラ、やる」

手に持っていた紙袋を差し出した。

「相変わらずぶっきらぼうだねぇ」

俺も睦を挟んだ反対側に座る。

「わあ!ありがとうございます!」

私は泣きました、と思い切り
目を腫らしているくせに
なんて嬉しそうに笑うんだ。

向こうのガラッパチと正反対で
ほんっと可愛いな睦は。

「…睦よォ」

不死川は驚いたように目を見開いて
睦の顎に指を掛け
くっと持ち上げてから喉元を覗き込んだ。

「……俺のに気安く触んじゃねぇよ。
お前も何をおとなしく
されるがままになってんの」

「えぇ…だって不死川さんだし…」

「どーいう意味?
やましい感情はねぇってコトでいいか」

「妬くな宇髄」

睦に目を向けたまま煩わしげに一蹴し

「随分よくなったみてぇだなァ」

目を見張る不死川。

首のキズの事を言っているのだ。
それに気づいた睦は
気まずそうな笑みを浮かべる。

「…はい、おかげさまで…」

そう言ってから
ハッとある事に気がついたようで、

「不死川さん、
助けに来てくれたんですよね?
ありがとうございました。
ご迷惑をおかけしてごめんなさい」

ぺこりと頭をさげた。





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