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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第22章 お兄ちゃんのお見舞い





不死川の背中越しに縁側を覗き込むと
案の定そこに座る睦の姿。

「ほらな、俺の言ったとおり……」

睦の、姿……

大男ふたりの突然の登場に
驚いてこちらを向いている睦の目からは
ぼとぼとと大粒の涙が溢れ出ていたのだ。

それを見た途端、不死川は
ものすごい速さで睦の元まで行く。
そしてものすごい勢いで膝をつき……
膝の皿が割れそうだが…

「宇髄ィ…!」

地を轟かすような唸り声を上げた。
何なのよ、睦泣いてて
それどころじゃねぇけど?

そんな俺の気持ちはお構いなしに、
すくっと立ち上がったかと思うと
睦の座る縁側に片膝を付き
鳩尾あたりにその頭を押し付けた。
さりげなく涙を拭いてやる所はさすがだが…

「お前、俺の前でよくやったモンだな」

その女を慰めんのは俺の仕事だろ。

「ホントによくやったモンだなァ…
コイツひとりで泣いてんじゃねぇか!
どういう事だァ!」

「いや、俺が訊きてぇわ。
取り敢えず離れろよてめぇは」

「てめェがコイツ1人にするからじゃねぇのか!」

「いやいや、その話はさっき終わったろ。
落ち着けオニイチャン」

間近で睨み合いながら
何気なく睦を奪い返し
ぎゅうっと背中を抱きしめてやる。

「まだ早ェんだよ」

「こいつの意向を汲んだの俺は」

「状況を見極めろってんだ」

「見極めたからだ。こいつのしてぇようにする。
俺はそれを支えてやるだけだ」

「支えてんのにこのザマか!」

「待って下さい…!」

この状況に耐えられなくなった睦が
とうとう声を上げた。
俺にうずもれていた睦は
顔を上げて、不死川と俺の顔を交互に見る。
それを見下ろして、

「睦、お前が1人で泣いたりするから
サネミオニイチャンご立腹だぞ」

聞こえよがしに言ってやる。
すると思った通り

「違うだろ!俺はてめェに…!」

きっちり嚙みついてくる不死川。

「ごめんなさい…怒らないで下さい」

「…っ…」

睦に小さくそう言われ、
何も言えなくなった不死川は
大きなため息をついた。

ほんとに睦には甘々だな。

「で、何で泣いてたんだ」

俺が訊くと少しだけ俯いて目を泳がせる。


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