第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
「くっついて悪ィ事はねぇだろ?」
「…悪くはないけど。
久しぶりすぎて照れる、かな…」
素直に思った事を口にすると
「可愛いなお前は。
睦のそういうとこ愛しい…」
私のほっぺたに優しく唇を押し付けた。
ほら、こうなるから照れるって言ってるの。
でも嫌なわけもなくて
どきどきはするけれど
逃げる程の理由にはならない。
自分からも寄り添ってしまうくらいだ。
「で?踊りがなんだ?」
「あぁ、ここへ来た時みたいに、
町で踊れないかなぁって思ったの。
それとも、私だけが
ひとりで外へ出る事は許されない?」
甘えて彼の胸元に擦り寄る私を
「本来ならな。でもちょくちょく
抜け出してる俺には何にも言えねぇな…」
天元は見事に甘やかす。
「いいの…⁉︎」
「いいよ。こんなとこに押し込めとくのが
いい事だとは思わねぇからな…」
自分の弟の顔でも思い出しているのか、
くくっと笑ってみせた。
「またアーディルさんにお説教くらうの?」
まぁるいメガネをくいっと押し上げて
長いお説教をたれるアーディルさんを思うと
私も笑ってしまう。
「それは…俺の役目だな。
あいつが睦に説教なんかするわけねぇ」
アーディルさんが私に……
「…するかもしれないよ?」
「いや、ねぇな。するなら俺にするだろ。
あいつお前にゃ甘ぇからな」
「……」
そうなんだ…。
「…なんで嬉しそうなんだよ」
じとっと睨まれるも、
「嬉しいんだもん。
私アーディルさんのこと好きだな。
なんでかな、話し、やすいし」
特に何も考えずに思った事を言葉に乗せた。
でも…
あら、これ地雷かも…
その私の考えは大正解だった。
案の定、気を悪くした天元が
まるで罪人でも捉えるかのように
私に手を回し絡め取る。
眼前で睨まれて
「誰のこと、好きだと?」
低く訊かれた。
「………天元のこと」
「いいや、そうは聞こえなかった」
「ふふー、やきもちだー」
天元のシュッとしたほっぺたを
人差し指でつんとつついてみる。
「うるせぇなお前。遊ぶな」
その手首を掴み上げられ
不機嫌そうな目が私を見下ろした。
「だって好きの意味が違うのなんか
わかり切ってるでしょ?
私の事を笑ってた人とは思えないねー」