• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜





「おいしい!」

私は目の前にあるふっかふかで、
私の顔よりも大きなパンケーキをひと口かじって
感動の声を上げた。

それを聞いた、
テーブルを挟んで私の向かいに座る天元は
優雅に足を組み、頬杖をついて
満足そうに微笑んだ。

まぁるい形の透彫になった真っ白いテーブルには
ミルクやオレンジジュース、
ヨーグルトとハチミツ、バター
シリアル、フルーツと
たくさんの食べ物が所狭しと並べられている。


あの忌まわしい事件から1か月、
やっと目を覚ました私が
ここまで回復するのに2か月と半。
やっと固形物を
食べられるようになったばかりだというのに
この量といったら何事だろう。
それにしても、このパンケーキのおいしさよ。

「うまそうに食うなぁ、よかったな」

私に言っているようで、
自分が満足しているような話し方。

昏睡状態の私の元に毎日通い、
目を覚ますよう声がけをしたり
その日にあった事を話して聞かせてくれていたと
ジャナから聞いた。
忙しくてそんな時間、無いはずなのに
足繁く通ってくれたその気持ちが
とっても嬉しかった。

大きくて小さな幸せに浸っていると
やけににこにこ顔の天元が、
ぐっと顔を近づけて

「そのパンケーキなぁ…」

嬉しそうに話し始める。

「うん、なぁに?」

あまりのおいしさにご機嫌の私は
もうひと口、頬張りながら
続きを促した。

「アシルが焼いたんだぞ」

「……………」

無意識に咀嚼が止まる。


「誰?」

「アシル」

念のためもう一回訊いておこう。

「………誰?」

「アシルー」

何度訊き返しても返事は同じ。

私はがしゃんとフォークを取り落とした。
その様子をにこにこと笑ったままの天元。

「ねー!なんの冗談⁉︎」

さっきまでの幸せ気分は一気に吹っ飛んだ。

私にとってはトラウマでしか無いその名前。
あの毒は自分から飲んだんだけども…
それでも死の淵を彷徨っていた私にとって
思い出したくもない。
恐怖でしかない。

それなのに…。

「あいつはさぁ、今や真面目な
スイーツ屋さんになったんだよ」

天元は感慨深げにうんうんと頷いた。

「だからって、何の説明もなく
よくこんなもの食べさせるわね!」

私は自分の両腕を抱きしめて
震え出す体を抑え込む。



/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp