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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜





「…睦、……睦…?」

確かめるように何度も呼ばれて
私はがんばって瞼を開く。
声が出せないんじゃ、もうしっかり目を開けて
起きた事を証明してみせないと…

ぱちりと、互いの視線が絡まった瞬間、
天元の目が大きく見開かれ、

「……っ…」

彼が息を呑んだのがわかった。

「睦、…起きたのか…?」

信じられないように私を見て
確かめるように、震える指先で私に触れた。
頬を撫でられる感覚に
くすぐったさを覚えてクッと顎を引く。

あ、動かせた…
ほんのちょっとだけど…。

「睦!起きた!あぁ睦!」

突然がばっと起き上がり
私を潰さないよう気をつけながら覆い被さり
真上から私の様子を窺った。

彼が動くと、甘くていい香りが鼻腔をくすぐった。
私のベッドの上に、
あの最初の日に天元が贈ってくれたチュベローズが
めいっぱい敷き詰められていた。

…だから、夢にジュリちゃんが出てきたんだわ…
そんな事をぼんやりと考えていると
天元が泣きそうな瞳で

「お前さ……どんだけ寝んだよばかやろう…」

聞いたこともないような
情けない声をして呟いた。

え?そんなに寝てた…?

そんな惚けた事を考える。
頭がはっきりしないんだ。
まだ考える事は無理みたい…

「ジャナ!医者を呼べ‼︎」

あぁ、大きな声だ…
久しぶりに聞いた気がする。

途端にバターンとドアの開く大きな音。

「睦様⁉︎」

聞こえたのはジャナの可愛い声だ。
パタパタと走り込んで来たジャナは
私が天元の下になっている事など気にもとめず
ベッド脇まで来ると

「お目覚めですか睦様ぁ…、
よかった…もう、
お寝坊にも程があります…っ」

嬉しそうに目を細めた。
涙に震えてる。
心配をかけてしまったのは明白だった。
それなのに、困ったことに
申し訳ない気持ちを伝えることすらできやしない。

もどかしい気持ちを抱えていると
スッと私の上から退いて
ベッドからも降りた天元が、
ぎゅっと私の手を握り

「睦、よくがんばったな。
戻ってくれてありがとう」

ただ目が覚めただけの私を褒めてくれた。
……私はただホッとして
ゆっくりと瞬きをした。













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