第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
あれ…?
…誰かに
抱きしめられているんじゃないだろうか。
そう思って、ふと目を開く。
…開いたつもりが、
あまり上手に開けられなかった。
どういうわけか、力もあんまり入らない。
頭はまるで霞がかかったようにぼんやりしていて、
ほぼ働いていないようだ。
おかしいな…
さっきまで、あんなに走っていたのに。
走りすぎて疲れちゃったのかな…
でも私、今度はベッドの中にいるみたい。
気のせいかと思ったけれど
多分本当に横たわっている。
だって私の右肩はベッドに沈み込んでいるもの。
ちらりと、
開ききらない目を天井に向ける。
すると入り込む、ベッドの天蓋。
あ、ここ知ってる…
私の部屋だ…。
ひどく安心する。
戻って、きたのか。
…どこから?
横向きに寝転ぶ私に寄り添うように
大きな身体が横たわっている。
片腕が、私を守るように巻きついていた。
…あったかい。
さっきまで、私を後押ししてくれた
あの風とおなじくらい…。
…この人は…?
どうして一緒にいるんだったかな…。
それにしても…
体がちっとも動かせない…。
目の前にある、この人の頬に触れてみたいのに、
身体のどこも動かせる気がしなかった。
まるで自分の体じゃないみたい。
息をするのが関の山。
私に何があったんだったかな。
どうしていたんだか、ちっとも思い出せない。
…あれ、この人…
天元…
そうだ、天元だ。
あぁ、疲れた。
何もしていないのに、
ひどく疲れるよ…
ほぼ開けられていなかった、
目すら勝手に閉じてしまうほど。
「…………ん……」
なんてこと。
名前を呼んだはずだった。
でもまともな声すら出せない。
なのに、
掠れ切って
ほぼ息づかい程度の呼びかけに
ばっちり反応してくれた。
一瞬でカッと見開かれた両目。
肘を折り曲げて、自分で腕枕をしつつ
その先に私の頭も乗せてくれているため、
顔の位置がぴたりと合っている。
「……俺を呼んだのか、睦」
独り言のような小さな呟きの後で
息を詰める天元。
「睦…そろそろ起きろ…」
切ない声。
もう、起きる時間なの?
起きろ、の言葉に素直に
重たい瞼を開いてみる。
「………睦?」
「……」
なぁに?
と、言ったつもり。
相変わらず、声が出ない…
ねぇ私は、何をしていたんだっけ…?