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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜





でも、抜け出すってどうやって?

私はずうっとこの道を歩いて来た。
長い長い時間をかけて…。
それなのに、
こんな中途半端に引き返すのも
勇気がいる。

でも、間違いだったら?

間違いだったとしても、…。

急激に迷いが私を襲った。
どうしたらいいんだろう。
私はどこへ行けばいいんだろう。

だけど…
ここがどこなのかもわからないのに、
行くべき場所なんてわかるわけがない。

もと来た道を振り返る。
ふと、目線を上げると
大きな王宮。
なんだか懐かしいような、
…王宮なんて、私の生活からは
縁遠いものだ。

そう思いこんでいて、
気にも留めなかったけれど、
…何故こうも懐かしく思うのか。
それがやけに引っかかった。

たまに、私を強く呼ぶあの声と、
全身を包み込むような温かい風が

私に何かを、思い出させる…

ねぇ、私はあなたを知っているね。
ずっと呼んでくれてたのは、
あなただったのかな。

私が歩いていた方向は間違っていた?
一生懸命、呼び戻してくれていたのかな。

そうだとしたら、
ごめんね私ずっと、無視していたみたい。
だって、気のせいだとばかり思っていたから。

来た道を戻れば、
あなたに会えるのかな…

そんな気がして、
勇気を振り絞り踵を返すと
私は時間をかけて歩いて来た道を引き返した。

今までして来た事を
フイにするような気がして
本当は怖かったけれど
このままこんな場所にとどまるのは嫌だった。

ジュリちゃんが、
あっちは雨がひどいと言ったその言葉を
信じてみようと思った。

走って、少し行くと、
私は間違ってなんかいないという事を
確信した。

だって身体が軽くなっていく。

「睦…睦…!」

私を呼ぶ声が大きくなっていく。
心地いい、あの温かい風も
私を後押ししてくれるんだ。

いつしか雨は止んでいた。
私の不安も消えていた。

すると、夢中で走る私の目の前が急に開けて
真っ白な光に包まれた。
不思議と怖くない。
だって、深い愛に満ちているんだもの。

何の迷いもなく、
私はそこへ飛び込んでいった。



眩しさに目をすがめ
そこを抜けると、
さっきほどではないにしろ
明るい陽射しの溢れる場所に出た。

ベッドにでも横たわっているかのような
心地よさ。
柔らかいものと、
温かいものに全身が包まれている。


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