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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第2章 比翼連理




急に2人残され、
どうしたものかと考える。

…いや、待てよ。
アレは、睦だぞ。睦なんだよ。

「……睦」

びくっと肩を揺らした睦は

「…はい」

そっぽを向いたまま返事をした。

「ちょっと…」

俺は睦を手招きする。
え、と振り向いて、少し躊躇いながら
そろそろとこちらへ歩み寄ってくる。
目の前に来ると、少し慣れたのか、諦めたのか
照れながらもふわりと微笑み、

「どうですか?」

なんて言いながら、くるりと回ってみせた。

だから俺も、

「きれいだ。よく似合ってる」

つい笑顔になる。

「ホントですか?」

嬉しそうに言う睦に、

「あぁ、惚れ直した」

緩く両手を上げ、お手上げポーズをする。
それにびっくりしつつ、
嬉しそうにする睦は
座っている俺の隣に腰を下ろし寄り添ってくる。

…そうだよな。
女なんだから、こんなきれいな着物だって
身につけたいよな。

「ごめんな睦」

「え?」

「着物の一着、
紅のひとつでも買ってやるべきだったよな」

そんな事にも気がつきゃしねぇ。

「えぇ?何言うんですか?
私、別にそんなのいらないですよ」

おかしそうに笑う。

「でもお前、今すげぇ嬉しそうにしてやがる。
…自分だけ正装しやがってって、叱られた気分だ」

「それは、
私が普段着でいいって思ったからですもん。
ここに来るのに正装するのも変だし」

まぁ、こいつはただ遊びに来る感覚だったからな。
睦は少し、目を伏せると、

「それに…今私が嬉しそうに見えるんだとしたら…
宇髄さんに、褒められたから、です」

頬を染めた。
あー…

「それは…ダメだ。可愛すぎだ」

俺は片手で目元を覆う。

「えぇー…」

「お手上げだ。完全に」

こんなにきれいな睦が、
どんだけ可愛い事を言ってきても
まさかこんな所で押し倒すわけにもいかねぇし、
抱きしめたりすれば止まれる自信もなく、
口づけなんてもってのほかで…。
ダメだ、マジでお手上げ。

「…宇髄さん?」

俺の気持ちを知ってか知らずか、
無防備に顔を覗き込んでくる睦。
無邪気ほど、恐ろしいものはねぇな。

落ち着け俺。
化けてはいるが、所詮こいつは睦だ。



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