• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第2章 比翼連理




いつもより目がくっきりしていて、
濃いめの紅が、きれいな形の唇を引き立てていた。

ドクっと、心臓が音を立てたのがわかった。
やべぇ…。

化粧をすれば、きれいになると、わかってはいた。
俺だって、そう思っていた。
だが、ここまでだとは、想像できなかった…
俺は声も出せず、ただ見つめる事しか出来ない。
睦は下を向いたまま、
こちらを見ようともしない。

「睦ちゃん、きれいなモンだなぁ!」

『おじちゃん』は感嘆の声を上げる。

「だって、ねえ?
宇髄さんがあんなに素敵な格好なのに、
隣に立つ睦ちゃんが普段通りじゃ、
何だか申し訳ないもの。
あんただって、ちゃんとすればきれいなんだから、
恋人と出かける時くらい、しっかりやりなさい?」

「ちゃんとすればって…!」

そうだ、睦は普段通りでも充分きれいだ。

「だってホラ、宇髄さんを見てごらんなさい。
睦ちゃんの事
見つめたまんま、声も出せないじゃない」

皆の視線が集まって、俺はばっと顔をそらす。
やめてくれ。
今俺は、みっともない程、赤面しているだろう。

『おじちゃん』も『おばちゃん』も、
顔を見合わせてくすりと笑ってみせる。

「若いっていいなぁ」

「ふふ、私たちもああだったかしらねえ」

「そうだなぁ、お前もそうとう美人だったからな」

「あら、嬉しい。そういうあんたも、
とっても素敵だったよ」

なんて、
俺らをダシに、仲良しっぷりを見せつけられるが、
そんなのにつっこみを入れる余裕もねぇ。

「さ、じゃ、夕方の準備でも始めるかねぇ」

「そうですね。じゃ、お2人さん、
今日はありがとうね。履物、揃えてあるから、
帰りは裏から出てちょうだいね」

「声かけいらねえから、好きな時に帰んな。
また2人でおいで。そん時ゃもうちょい、
少なくていいからな、甘味」

わっはっはと笑い、
ガラリと引き戸を開けて出て行く2人。
…礼も言い遅れたわ。
いや…言わせなかったのか。
自分たちには気を遣わせてくれないくせに、
こちらには充分すぎる程の気を配ってくれる。

なんて、あったかい夫婦だろう。
睦が、甘えてしまうのも頷ける。



/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp