第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
「私はね睦さん、
こう見えて、隣の国のお姫様なんですよ」
いたずらっぽい笑みを浮かべて
雛鶴さんが言った。
王女様…そう聞かされても
なんの疑いもなく鵜呑みに出来てしまう。
納得がいく。
でも…隣の、、という事は…
私にブレスレットを売るよう強いられた
あの子どものいる国だ。
そして、今彼が行っている国…。
雛鶴さんの国だったんだ。
そんな私の考えている事に気がついたのか
彼女は少し悲しそうな目になった。
「私の国は、薬草の栽培が盛んなの。
そのおかげで薬剤師もたくさんいて
薬学大国なんて言われていたわ。
でも、貧富の差が激しくて
王は…私の父はいつも嘆いていた」
悲しげなのは目だけじゃなかった。
話もなかなか悲しかった…
「うまい解決法が生み出せないまま、
事態だけは悪化していったの。
治安は悪くなるし、
子どもたちの教育環境の整わない地区も
未だにたくさんある。
そんな時に、私に結婚の話が出たの」
悲しい話の途中で、
雛鶴さんはにっこりと、とってもきれいに笑った。
「隣の国の王子様との縁談だった。
隣の国は、私の国とは全然違う、
物資的にも豊かで国民性も穏やかで活発で…
そんな素晴らしい国の王子様が
どうしてこんな荒れた国との
婚姻を結ぶのか、不思議で仕方なかったわ」
まきをさんも須磨さんも、
おとなしく雛鶴さんの話を聞いていた。
もう知っている話なのだろう。
神妙な面持ちで頷いていた。
「でもね、お会いした王子様は
満面の笑みで言ったの。
『あなたの国の薬に勝るものはない。
私の国の、病に苦しむ民を救って下さい』って。
きっと、私の気持ちに気がついていらしたのね。
天元様は薬が必要だとおっしゃりながら、
私の国を救って下さるおつもりだったの。
薬と引き換えに、私の国の治安諸々を
整えて下さっているのよ?」
…あの人は、王子なんだなぁ…
なんて、アホな事を考えた。
雛鶴さんに気負わせる事なく、
隣国を救ってみせたわけだ。
…あの人にとって婚姻は自分の為ではないんだ。
相手を救う為の手段なんだな…。
……。
そんな話を聞いてしまうと、
他の2人の馴れ初めも気になって、
私は無意識のうちに
まきをさんと須磨さんの方を振り返った。