第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
具体的な何かを思い浮かべていたわけじゃない。
ただ漠然と、そう思ったのだ。
「ふふ…。睦さんは
自分の事をうまく理解しきれないようね」
ばかにするでもなく、
冷静に私を分析した雛鶴さん。
意味深に私を見つめて、何やら思案顔…
なかなか読めない人だな。
優しいけれど、
ちゃんと真意を見極めようとしているのがわかる。
ますます魅力的。
「睦さんは、
どちらの国のご出身かしら?」
「…多分、皆さんがご存知のない
遠い小さな国です。仲間と旅をしながら
その先々で生計を立てていました」
「えー?それで何でここに?
仲間とケンカでもしたのか?」
「とんでもない!本当なら今頃、
その仲間と次の国に旅をしている所で…」
「あー!わかった!
天元様が攫って来ちゃったんだ!可愛いから」
「こら須磨!なんて言い方をするの」
雛鶴さんは即座に窘めるが、
「…ごめんなさい。その通りです」
私は本当の事を口にした。
だって、嘘ではないから。
でも言ってしまってから後悔をした。
自分は彼に愛されていると
公言したようには聞こえないだろうか。
…いや、聞こえる。
自分の優位を主張したように。
それなのにこの3人は
平然としてうんうんと頷いた。
「そっかそっか。まぁしょうがないかな。
好きな女をそばに置いとくのは
天元様の夢だったしな!」
「そうですねぇ…。
ホントにやっちゃうとこが天元様ですねー」
「天元様はそれでいいでしょうけど、
突然の睦さんは驚いたでしょう?」
「……」
なんだ、この反応は。
いいのか?後から来た私がでしゃばって。
何も感じない…?
いや、私だっていざこざは嫌だ。
あの人は私のモノよ!なんていうのは
ごめん被る。
それがないのは限りなくありがたい。
少なからず、それを予想していた私としては
この状況はなんとも理想的。
だけど…それにしたって。
こんなに緩くていいの…?
そんな私を、そっと見つめていた雛鶴さん。
仕切り直すかのようにパンと手を叩き、
「ちゃんとした自己紹介がまだだったわね」
にこやかにそう言った。
なぜ今、このタイミングでそんな事を言うのか
私にはよくわからなかった。