第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
「女には可愛いだきれいだ言っとけば
ご機嫌が取れるだろって思ってるでしょ」
「可愛いモンしか可愛く思わねぇ。
だからホントに可愛いモンにしか
可愛いって言わねぇ」
呪文のような言葉をすぐには理解できない。
首をひねる私に、ちゅっとキスをして
「好きだって言ってんだよ」
これならわかるかよ、
とでも言いたげだ。
わかりやすく言い換えられて
……どうしてだろう、
幾度となく言われていた言葉だというのに、
やけに耳に残って、照れる。
『可愛い』と言われるよりも
『好き』と言われた方がドキッとする。
それは、可愛いという言葉があやふやだから。
私の中で確立していないような気がするんだ。
そうやって分析していた私が彼にはどう見えたのか
「……親父さんと仲良いのか?」
私を慰めるように、
自分の首元に私の頭を優しく抱き寄せた。
顎で頭を挟み込み、固定すると
そっと髪を撫でてくれる。
「うん…。仲良し。今はお互い流れているから
なかなか会えないけど、
小さい時は、いつも良くしてくれたよ。
遊んでくれるしお話はおもしろいし」
「メシは食わせてくれるしなぁ?」
くっと喉を鳴らし自嘲した。
「ふふ。うん、そうだね。
穏やかで優しい人だった」
「お袋さんは?」
ぎゅうっと背中を抱きしめて更に続ける。
まるで私を守ってくれるかのような仕種。
「情熱的な人だったよ。
踊りはね、母から教わったの。
とっても綺麗に踊る人だった。私も、
ああなりたいなぁって思ったんだ」
「そうか…」
彼の膝の上に座った私を
上半身に隙間が無くなるくらい
力を入れて抱えられた。
…話が進むにつれて、
私の抱き締め方が深くなるみたい。
どうしてだろうと不思議だったけれど…
「懐かしいな…。会いたくなっちゃった…」
素直に気持ちを口にしてしまってから
その理由に気がついた。
言葉にすると、自覚する。
こんな話をする上で、
両親に会いたくなる事を
自覚するであろう私を見越して
彼は抱きしめてくれていたんだ。
私が、淋しくないように。
「……ごめんな」
ちょっと苦しそうに謝る天元。
私はびっくりしてしまって、
反射的に彼を見上げてしまった。
「なん、で、天元が謝るの?」
「…んー…」
言いにくそうにして、
私のおでこにキスを落としてごまかす。
