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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜





ふわりと私をつつむ彼の香り。
あの日の熱を思い出させて、
どきっと胸が、大きく脈打った。

「…っや…」

思わず身を引いたが、
彼は特に気にするでもなく

「…気に入っただろ?」

嬉しそうに私を見下ろした。
…近いから。

一歩分離れた私は
そのトップを両手の指で挟むように持ち
ルームライトに照らしてみた。
すると細やかにカットされた面が
光を取り込んでそれは美しく輝いた。
そうして、ふと気づく…。

「これ…ロケット?」

石の部分が蓋になっていて
ロケット型になっている。

「あぁ。有事の際に役立つものが入ってる。
大切に持ってろ」

さっきまでとは違う、強い目で言った。
なんだかよくわからなかったけれど、
うんと素直に頷いてしまった。
有無を言わせない雰囲気があったのだ。
そんな私を見て、にっこりと笑う彼。

この人は、よく笑うな…
よく怒るし、なんだか高貴な人じゃないみたい。
馴染みやすいというか…
話しやすいというか。

「で、そろそろイイか?」

ぼうっと彼の事を見上げていた私に、
意味ありげに含み笑いをする。

イイ、とは?

「何が…?」

「俺が夜に部屋を訪れる理由なんてひとつだ」

背中にするっと腕を回され
妖しげな手付きで撫で上げられた。

「っ⁉︎」

血の気が引いていくのが
自分でもわかる。
何てこと…
呑気に贈り物なんか
受け取っている場合じゃなかったのに。

後悔の渦にのまれている私になどお構いなし。
彼の腕は次第に強く私を絡め取る。

「待って!いやよ、もうあんな事…」

抱き込まれまいと暴れる私を
力尽くで抱きしめて

「暴れるんじゃねぇよ。
悪いようにはしねぇから…」

ひどく優しい声で囁いた。
でもそんなの私には通用しない。
もうあんな、
この間のようにされるのはごめんなのだ。

「今がもうすでに悪いから…ッ」

「はぁ?抱きしめてるだけじゃねぇか」

「イヤなの!離してったら!」

更に暴れる私の、

「ああ!めんどくせぇ!」

両脚を掬い抱き上げた。

「ふあッ!やだやだ!下ろしてよ」

「暴れんじゃねぇ‼︎」

大声で怒鳴りつけられ、
びくっと体が硬直する。
なんて迫力。
おとなしくせざるを得ない…



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