第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
「…っ。いやよ、離して!」
「話せばな」
離れようと必死になってもがくのに、
彼は涼しい顔のまま。
「力にものを言わせるなんて最低よ!」
「うるせぇ。俺に逆らうのが悪ィ。
俺が話せと言ったら話すんだよ」
「言ってどうにかなる事ばかりじゃないでしょ?」
「それは俺が決める」
「それがイヤなのよ!」
「お前は跳ねっ返りにも程があるなぁ…
ここまで反抗するヤツは初めてだ。
嫁の貰い手なんかねぇだろ。よかったなぁ、
俺に拾われて」
拾われる⁉︎
「余計なお世話よ、人でなし!
私だって好意を寄せてくれる男の
1人や2人ちゃんといました!」
「その割に処女だったくせに…」
「なんてこと言うの⁉︎最っ低‼︎」
彼の腕を力いっぱいはたき落とし、
解放された私は
そのまま踵を返して部屋の中へと入った。
外よりはあたたかい空気に
少しだけホッとしたのも束の間、
「睦お前さぁ、俺が来て喜ばねぇって
変わった女だなぁ?」
また言ってる…
「そんな事を言ってるあなたの方が変わってる」
私は肩掛けをソファに放って
水差しからコップに水を注いだ。
「ほら、これやる」
藪から棒に、彼は小ぶりの包みを差し出した。
……およそ女に贈り物を渡す態度ではない。
「なぁに?」
「いいから開けてみな」
差し出された真っ白い包みを、
素直に受け取ろうと手を伸ばして…
ツと止めた。
彼の顔を見上げて、少し睨む。
受け取るべきか
このまま放っておくべきか
少し悩んだからだ。
何だろう。
何のつもりだろう。
どういう風の吹き回し…?
私の憶測を
まるで見抜いているかのように
ニッと笑って見せた。
その笑みで、あぁ大丈夫だ、と
何故かそう思った。
どうしてだろう…。
恐る恐る手にした包みを、開けてみる。
青いベロアで作られた長細い箱の蓋を
ぱかっと開けると
顔を覗かせたのはペンダントだった。
でもそのトップについている石を見た途端、
私はぱたんと箱の蓋を閉じた。
そしてそのまま、彼の胸に突っ返した。
咄嗟に、箱を押し付けた私の手ごと抱え
「え…なんだよ」
慌て出す。
私は何度も首を振って、
「もらえない。受け取れない」
更に強く箱を押し返した。