第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
「睦様、まだまだありますから
たくさん召し上がって下さいましね!」
「うん!おいしいねぇ!」
「よかった…」
ホッと胸を撫で下ろしたジャナは
私に新しいお皿を差し出した。
「…何が?」
「だって睦様、
昨日も今朝も元気がなくって心配していたんです。
元気になってくださってホッとしました」
「ジャナ…」
私の事を、心配してくれる人がいた。
元気を出してほしいって
思ってくれる人がいたのだ。
それが、とっても大きな事に思えて、
「…ありがとう。ごめんねジャナ…」
言葉と同時に、涙が溢れてしまった。
「睦様…⁉︎」
驚いたジャナはお皿を落としそうな程
オロオロと慌て出した。
あぁごめんね。
「ありがとう…。私ジャナのこと大好きだよ」
「えッ!そんな勿体ないお言葉…」
ジャナこそ泣いてしまいそうだ。
「私のほうこそ、
睦様のお世話をさせて戴けて
とっても幸せなんです!」
目元を押さえながら
ジャナは私の隣に膝をついた。
「違うの…。私はもう、
どうしてここにいるのかわからなくて…
自分の、価値が…
どんどん無くなっていくように感じたの。
だってあんなに綺麗な女性がもういるのに…。
色んな国を渡って、
たくさんの人に踊りを見てもらうのが
私の生き甲斐だった。それなのに
それすら出来なくなって、…」
私は椅子からズリ下りて
跪いたジャナの横に座り込む。
ジャナの両手を強く握りしめ
「もう、こんな所に居たくない…って。
だって死んでるのと同じだわ。
でも、ジャナがいてくれるなら私…」
声を上げて泣いた。
今まで溜め込んできた不満や不安を
すべて吐き出していた。
ジャナは泣きながら、うんうんと聞いてくれて
「睦様、おつらかったですね!
王子様、ご公務がお忙しいんですよ!
近いうちに、
きっと慰めに来て下さるはずです!」
「へ…?」
違う違う。
何言ってんのこの子。
「…そうじゃないよ…
慰み者になる気はないよ…」
「まだそんな事を仰るんですか?
睦様だってお淋しいでしょう」
私は涙も止まってしまった。
さっきの私の話、聞いてたのかな。