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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜





「どうしてジャナが…。
誰に叱られるの?」

「王子様です」

「…何で。最も関係の無い人だわ」

なんであの男に
そんな事をする権利があるって言うの。
……権力者だからか。

「最も関係のあるお方ですよ!」

ジャナは力説するけれど…。
私が日焼けする事があの王子に
何の関係があると言うのか。

私の傍に佇んだままのジャナを、
強い日差しから目を守るため
手をかざしながら見上げた。
……

「座ったら?」

「とんでもございません!」

「…ねぇ、私が位の高い人間でない事は
あなたも知ってるでしょう?
そんなに気を遣わないでいいよ?」

「今は王子様の大切なお方ですから」

「………はぁ」

私は大きなため息をついた。

大切なんかじゃない。
そんな扱いは受けていない。
だってこんな所、私にとっては何の意味もない。
それなのに、
この広くて狭い空間に縛り付けられているのだ。
こんな状況、大切にされているなんて
言えないと思うのだ。

「ねぇ、この水路、どこに続いているのかしら」

「後宮の外、ではないでしょうか」

「じゃあこの葉っぱはここから出られるのね…
羨ましいな」

ぼそりとぼやいてしまうと

「何てことを仰るんです!」

私の気持ちを知りながら
ジャナは珍しく声を荒げた。
その事を咎めようとした所へ…。

「ホントになぁ…」

突然耳に届く
私でもジャナでもない、太い声。
私たちが声のした方に目をやると
私に与えられたこの庭園の入り口に、
かの王子サマが立っていらっしゃったのだ。

まるで庶民のような
薄布を巻きつけただけの出立ち。
むせ返るような香りと共に現れたその人の手には
小ぶりの白い花束。

ジャナは慌てて跪き頭を下げた。
はしたなく寝そべっていた私は
いっそそのままいてやろうかとも思ったけれど
ジャナにキッと睨まれて
仕方なしに体を引き起こした。
でも、それだけ。

愛想笑いをするでも、
ご丁寧な挨拶をするでもない私を、
不思議そうに見下ろす王子サマ、こと宇髄天元。
憎い男。
私から自由を奪った男だ。

「お前…アイシャと言ったか。
もしかしてここから出たいと思ってんのか?」

心底、驚嘆したように目を見張った。

「……」

…私の名はアイシャではない。
睦だ。



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