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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第20章 旱天慈雨





なんという事だ…。
ここまで言ってくれる人が現れた。
私の目の前に。
こんな事があっていいのだろうか…。

あぁ私…ちゃんとこの人の為に生きなくちゃ…
何となく、ではなくて
しっかりと意識しなくちゃいけない。
私には天元がいると。
こんなに大きな存在、他にはいない。
最大で最強の味方なのに。

「それで、…お前まだ、…その、」

「…?」

歯切れの悪い話し方。
『お前まだ』のくだりで、わかってしまった。
この鈍い私でも…。

「さっき…まだこの世でひとりきりの時にね、」

話し始めた私に、

「誰がこの世にひとりだ」

つっこんでくれるが、
それには構わず私は先を急いだ。

「辿り着いたよ…。もう、居るわけないって」

きっと、昨日のお店の女性が
『まだあの女だと思っているのか』と
訊くつもりだったと思う。

「母親の最後を見届けたのは、
それこそ私、ただ独りなんだから」

それなのに、
あんなふうにみっともなく取り乱して…。

「そうか…。その話、しても大丈夫か?」

「話…?するの…?」

不安が声を通して伝わってしまったと思う。
天元は強く抱き直してくれて
私の体は彼に深く埋もれた。

「あぁ、でも悪い話じゃねぇ。
怖ぇだろうが、逃げずにちゃんと噛み砕こう。
それで納得して間違わずに呑み込むんだ。
無駄に恐れたりしねぇように」

時間をかけて
私を説得してくれる。

「うん…そうする。
天元がそう言うなら…」

それが正しいと思うんだ。
すると私の体に巻き付いていた腕に
更に力が入った。

「…あぁ、ありがとな。
睦が穏やかに過ごせるようにしような。
その為に、ちっと怖ぇだろうが聞いてくれ」

「…うん」

返事をすると、
ぴたりと顔と目の位置を合わせた。
私の様子を把握するためだろう、
なんてぼんやり考える。
それほどまでに、今の私は危ういのだろう…。

「…あの女について、3人に調べてもらった」

慎重に言葉を選びながら
天元は話し始めた。
回り道のない、ストレートな物言い。

「3人…」

「あぁ。お前の事が
好きで好きでしょうがねぇ3人組だ。
ほんとは俺が調べるつもりだったが、
睦についててやれと言われた。
そう言っただけの事はあってな
申し分ない程、働いてくれたぞ」



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