第20章 旱天慈雨
「大丈夫なんだな?」
頬を固定する俺の手を強く握り
「…大丈夫にしてくれるんでしょう?」
なんとも憎らしい事を言いやがる。
でもその一言で、気がついてしまった。
全然、大丈夫でなんかない事に。
当然だ。
あれ程の恐怖が、
こんなに簡単に払拭されるワケがねぇ。
今までのは、ほんの気休め。
笑い出したのは神経の高ぶり。
そしてこれからが真骨頂を発揮する所。
「お前の価値に気づけ。
睦は俺の、存在理由だぞ…」
首筋に囁きをうずめ、
優しく歯を立てた。
ぴくっと肩を竦ませて
睦は声を堪える。
「…っ。そんなこと言うの、
天元くらい、だよ…」
舌で首筋を辿り
襟元を押し開いて首の付け根を甘噛みした。
「…っん、」
「俺以外に居てたまるか…」
相変わらず、どこもかしこも甘い。
首元から手を差し込み、
掌全体を使って
首から撫で下ろしながら着物を乱す。
露わになった肩をまぁるく撫でると
その手の、親指の付け根を軽く噛まれた。
「……睦、もっと噛め」
俺は俺で、柔らかい肩に強めに歯を立ててやる。
言われた通りに、
少しずつ移動しながら
俺の手を噛み続ける睦。
なんだか唇を合わせてるみたいだ。
するりと肩から睦の頬へと移動させ
そっとさすりながら、
俺はその親指を、睦の口内へと差し込んだ。
「…ぅ、ん…。は…」
少し苦しそうに眉を寄せるものの、
舌を巻きつけては美味そうにしゃぶる。
どんどん色っぽさを増していく睦の着物を
肘まで引き下ろすと
普段はその着物の奥に押し込められている
真っ白なふたつの膨らみが、
弾けるように零れ出た。
「ぁ…ああ、ひあ…っ」
先端を口に含ませ、
強く顔を押し付けてやると
ふわりとした心地のそれは
簡単に形を変えて行く。
「んんんっ…んあぅッ」
強く吸い上げて
そのままぢゅっと離した瞬間、
喉元を反らして一際大きく喘いだ。
硬く主張した可愛い先端を
今度は舌でぐりぐりと押しつぶす。
「んく、っ!んあぁ…ッ」
それでも俺の親指を離さず、
それどころかひどく悦んでいるように
むしゃぶりついていた。