• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第20章 旱天慈雨






片腕に睦の腰を掬い上げ
自分の上に乗せる。
ふわりと浮いた小さな体は
咄嗟に俺にしがみついた。

肘をついて上体を起こし
照れながらもちょっと嬉しそうな目をしている。
あぁ、いい目になってきた…かな。

「そうやって、
俺の事だけ考えてりゃ幸せなのに」

俺は自意識過剰気味。
こんな可愛いのが
あんな素直になっていたら
調子にも乗りたくなる。
どう見たって、
俺のことが好きな目をしている。

「…幸せにして?」

「してるつもり」

「『今』の話し」

「あー…今…からしてやるつもり」

天井を見上げながら言った俺に
ふふっと声を上げて柔らかく…

「…笑った」

そう、笑った。

「笑ったな睦」

前髪をかき上げるように撫でてやると
その手にそっと擦り寄った睦が

「あーあ、もう幸せになっちゃった」

なんて
本当に幸せそうな笑顔を見せる。

「俺なんもしてねぇのに?」

「何もしてなくないよ。
いつもそばにいてくれる…」

「そんなモンじゃねぇ。
もっともっと、…何にも勝るくらいの
幸せをお前にやるよ」

睦が幸せなら
もれなく俺も幸せだ。
額に唇を寄せると
きゅっと目を閉じて構える。
ふっと、ひどく優しい気持ちになり、
そのまま唇を押し当てた。

「…ん…ね、下ろして?」

「何でよ」

「重たいでしょう?」

「俺そんなヤワじゃねぇんだけど…」

困ったように眉を下げる睦。
だいたいこの俺様が、
こんなちっこい女ひとりを
受け止められねぇとでもお思いか。

「だって最近、目方が増えた気がするの…」

「……目方、って何の」

「私の…」

ひどく言いにくそうに言うが。

「もっと太れ。まだ軽すぎだ」

「うそばっかり。天元がいっぱい食べさせるから
めちゃくちゃ重たくなったんだよ」

恨めしそうにじとっと睨まれた。

「食うのはいい事なんだろうが。
それこそ、幸せの象徴だ。
俺は悪いことはしてねぇ」

なぜ恨み言を言われる事があるのか
まったく理解できねぇまま、頬に口づけてやる。

「悪いんじゃ、なくて…!
重たくなったから下ろしてほしいだけで…」



/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp