• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第20章 旱天慈雨





「嫌なこと、忘れさせてやる事もできるけど…
今はゆっくり休んだ方が良さそうだな」

憔悴が激しい。
それはもう、誰の目から見ても明らかだろう。

「ほら、もう泣くなよ。
明日もう目ェ開かなくなるぞ?」

「目が開かなくなったら
天元が助けてくれるもん」

「はぁ…?…くくっ…
だから泣き止まねぇってのかよ?」

「止まらないんだよ。
天元が、あんなこと言うから…っ」

「あんな、って…どんな」

「ううん…いいの…。ありがと」

…全っ然よくねぇんだけど。
でもまぁ、
しっかりと会話ができるようになった。
それだけでも収穫はあった。

「あぁ、ほら…もう休む。行くぞ」

抱きついている睦ごと立ち上がり
寝室へ向かおうとすると
びくりと全身を硬くして

「あ、の私…ここがいい。
天元の部屋に居たい」

可愛いわがままを言う。
それを俺が許さないワケがない。




やっと寝入ったかと思えば、
びくっと怯えたように体を揺らして
目を覚ます。
覚ます、と言っても
完全に覚醒したわけではなく、
自分の痙攣の衝撃で起きてしまい…
すぐに寝入っていくのだが
一瞬だけ目が覚める程度だ。
それでも、良い眠りとは言えねぇな…。

夢でも見ているんだろう。
小さくうなされたり涙が目尻を伝ったり。

やっぱり目の当たりにすると違うのだろうか。
払拭、しきれないものなのだろうか…
そうだろうな…
それを抱えて生きていくんだ。
消す事など出来はしないのだから。
こいつの心が、この先どう向いていくかだ。
俺が導いてやればいい……




「っあぁ‼︎」

シンとしていた部屋に
睦の悲鳴が響いたのは
未明のことだった。
さっきまでと違って完全に目を覚ました。
勢いよく起き上がった睦は
肩で息をしている。

寝転んだままの俺の視線を感じたのか
少しだけ振り返りこちらを見た。

「……っ」

堪えきれない涙と共に
俺が広げた両腕の中に飛び込んでくる。
ぽんぽんと背中を撫でてやると
深呼吸をして不安定な自分を整えていた。

「…夢で、よかったなぁ?」

どんな夢かなんて聞くまでもねぇ。

「忘れたい…っ」

もう耐えられないとでも言うのか、
吐き出すように言った…。



/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp